いらっしゃいませ!
名前変更所
数か月とはいえ、押さえこんできた感情をやっと表に出せたんだ。
そんな簡単に我慢できるはずがなく、気づけば俺はあけをベッドに押し倒していた。
恥ずかしそうに顔を逸らす仕草。
真っ赤な顔。
微かな抵抗をする身体。
その全てが、俺を煽る材料にしかならないことを、あけは知らない。
「き、桐生?」
「なんだ?」
「いや・・・その、まさかとは、思うけど・・・やりてぇ、とか?」
「この状況で、それ以外だと思うか?」
すれ違いだったとはいえ、お互いの気持ちの壁を乗り越えた男女が二人きり。
しかもここはラブホテルだ。
そして俺があけを組み敷いているこの状況。
“そういう事”以外に、何もねぇだろ。
「・・・」
「・・・あけ?」
「・・・・っ」
あけの表情が曇っていくのを見て、俺は少し眉を顰めた。
怯えているような、困っているような、そんな表情を浮かべている。
さすがに、いきなりは怖いのか?
俺の理性がもつ内に言ってもらわねぇと、あけを泣かせてしまうかもしれない。
「どうしたんだ、あけ。言ってくれ。嫌なら無理やりにはしない」
「いや・・・その、嫌とかは、無いんだが・・・・」
「・・・?」
「私・・・あー・・・初めて、なんだ・・・けど、いいのか?」
“初めて”
その言葉の意味を理解するのに、俺は数秒間動きを止めた。
仮にもあけは、自分の女という性別を利用し、情報を集めていた人間だ。
夜の仕事をするうえで、夜の関係というものは切っても切り離せないモノ。
必然的にそういう経験はある方だと、思っていたのだが。
「お前、本当に初めて、なのか・・・?」
「わ、悪いかっ!好きでもなんでもない男に抱かれるのだけは嫌だったんだよ!」
「でもお前、今までの仕事で・・・そういうことをすることは無かったのか?」
「あったけど、適当に薬で眠らせて、逃げてた」
あけらしい解答に笑みを浮かべつつ、俺はもう一度あけを優しく抱きしめた。
初めてというのには正直驚いたが、それが嫌というわけがない。
むしろ、俺にとっては嬉しいことだった。
誰にも穢されていないあけを、俺の手で思いっきり穢してやれる。
あけが誰にも見せたことのない表情を、俺だけが見れる。
「あけ・・・怖いか?」
「・・・別に、怖くねぇよ・・・!」
「出来るだけ優しくするつもりだ・・・だから、駄目か?あけ・・・・」
怖くないと言いながらも、あけの身体が震えていることに、俺は気づいていた。
やっぱり怖いもんなんだろうな。男には味わえない恐怖だろう。
「・・・優しくするって、言ったからなっ・・・!?」
「あ、あぁ」
「痛かったら蹴り飛ばすからな!覚えとけよ!」
「フッ・・・それだけ元気なら、ある程度は大丈夫そうだな」
「あ、お、おい・・・んっ!」
あけの言葉ごと唇に吸い込み、深い口付けを交わす。
緊張や恐怖が溶けるよう、なるべく優しく舌を絡ませた。
逃げようとする舌を絡めとり、慣れない様子で必死に息をするあけの表情を見つめる。
柔らかい舌。時々漏れる吐息。その全てが俺の理性を突き崩していった。
「ん、ぁっ・・・」
「・・・可愛いぜ、あけ」
「ッ!!!」
耳元でそう囁けば、あけの顔が真っ赤に染まる。
俺はその隙をついて服に手を掛けると、ゆっくりボタンを外していった。
露わになっていく、柔らかい肌。
裏の世界を生きてきた証ともいえる、鷹の刺青。
痛々しいほどの傷跡。
その全てが愛しくて、気が付けば俺はあけの肌に舌を這わせていた。
「っ・・・綺麗じゃ、なくて・・・ごめんな・・・?」
「何言ってんだ?」
「だって、き、傷だらけ・・・だし・・・」
「関係ねぇよ。十分綺麗だ」
「ん、ふ・・・!」
肌に舌を這わせるたび、あけの肩がぴくりと跳ねる。
声を出さないように唇を噛みしめている様子も、シーツをぎゅっと掴んでいる様子も、俺にとってはただの煽りにしか見えなかった。
「ッ・・・ぁ、んんっ・・・!」
「声を我慢するな」
「う、うっ・・・せ・・・!」
「・・・いつまで我慢できるか、試してみるか?」
「っ!ぁ、や、やめろ・・・っ!」
声が聴きたいんだ。
押さえるなんて、許さねぇ。
露わになった胸の突起に口付けると、あけの表情が一気に変わった。
飴を転がすかのように舐め、味わうように吸い上げる。
「っは、ひゃぁ、あ・・・っ!」
崩れた理性はもう元に戻らない。
散々胸を苛めた後、俺は我慢できないとばかりにあけのズボンに手を掛けた。
あけが少し抵抗の色を見せたが、構わず全てを取り払っていく。
「あ、や、見るなっ・・・・!」
「駄目だ。ちゃんと見せろ」
「う・・・い、意地悪しやがって!後で、覚えとけよ・・・!?」
「明日動ければの話だがな」
「なっ・・・!?お、お前待て、手加減しろってちゃんと言っ・・・あ、んんっ!」
口の減らないあけに、俺は最後の追い打ちを掛けた。
下着越しに秘部をそっとなぞり、あけを無理やり黙らせる。
快感に震えるあけの表情。
シャツを掴んでいた手が俺の手を掴み、抵抗にならない抵抗を見せる。
こんな状況で、手加減出来るやつなど居やしない。
「あぁ、や、んぁっ・・・!」
「フッ・・・」
「あぁあぁっ!ひゃ、あぁ、ひう!」
下着をずらし、湿っている秘部を直接なぞると、声に甘みが増した。
その声をもっと聴きたくて、秘部へと指を誘う。
初めて、という言葉は嘘じゃないらしい。
あけの中は温かく、指1本でもキツイぐらいに締め付けてくる。
これは相当、慣らしてやらないとな。
「んん、ふっ・・・あぁっ、や、動かさない、で・・・っ!」
「どうした?痛いか・・・?」
「ちが、う・・・っけど、なんか・・・変・・・っ」
初めて味わう感覚に、あけがふるふると首を振った。
最初は狭く、きついだけだった中も、段々と蜜を溢れ出させてくる。
俺は濡れた指を引き抜くと、わざとあけの前で指を口に含んだ。
好きな子ほどいじめたくなるって良く言うだろう?
予想通り目を潤ませるあけを見て、ドクンと熱が高まるのを感じる。
「ば、か・・・!そんなの舐めたら、汚いっ・・・!」
「そんなわけねぇだろ。こっちも、味わってやるよ」
「っ・・・!?や、やめ・・・っ!」
徐々に慣れ始めた秘部に、俺は自分自身の顔を近づけた。
そしてそのまま、味わうように舌を這わせる。
今まで何度もこういう経験はあった。
だからこういう事には慣れてるし、余裕を無くす方ではない。
だが、あけの前では違った。
もっとあけに感じてほしくて、もっと色んな声を聞かせてほしくて。
何度も何度も我を忘れ、あけの蜜を吸い取る。
「あぁぁ、ひゃ、なん、あぁあぁっ・・・!」
「・・・いきそうか?」
「はっぁ・・・!変、に・・・なっちゃ・・・・んぅ!」
「一度いかせてやる。声、我慢するなよ?」
「ひ、ぁぁ、あぁあぁあぁっ!」
本当はもっと、焦らしたかった。
焦らしていじめて、あけに残っている理性の全てを奪い去ってやるつもりだったのに。
・・・こっちがもう、限界みてぇだ。
はち切れんばかりに主張してくるソレを、俺は我慢することが出来なかった。
マズイな。まったくと言っていいほど、余裕がねぇ。
「あぁっ・・・はっ・・・は、ぁっ・・・・」
達したらしいあけは、息を切らしながら俺の事を睨み付けてきた。
ったく、それが俺を煽ってるって気づいてないのか?
俺は我慢の限界を越え、ずっと主張している自身をズボンから取り出した。
それを見たあけは喉をヒクッと鳴らし、怯えた様子を見せる。
「・・・・っ」
「わりぃ・・・我慢、出来そうにねぇ・・・」
「・・・う、うっせぇな!そういうこといちいち言わなくていいっての!」
「言わねぇと怒るのはお前だろうが。痛いかも・・・しれねぇぜ?」
「ッ・・・・」
最初交わした約束を、俺は守れる気がしなかった。
たぶん、彼女と繋がったら、完全に理性を失って彼女を壊す。
狂うほどに啼かせてやりてぇ。
目を逸らそうとするあけの手を握り、はち切れんばかりのソレに触れさせた。
「っ・・・ば、ばかっ・・・!」
「いいか、あけ。力を抜け。じゃないと、辛いぞ」
「・・・わかった・・・」
「行くぞ・・・」
入口に自身を押し当て、ゆっくりと押し進めていく。
あけは俺の腕に痕が残るほど力を込め、その痛みに耐えていた。
何も言わない。痛いとも、やめろとも。
でも彼女が痛がっているのは、その腕を掴んでくる力から感じ取ることが出来た。
だが俺ももう、止めてやれない。
「あっ・・・ぐ・・・っ!」
「ごめんな・・・あけ」
「・・・気に、すんなよ・・・好きにしろ・・・!」
「え・・・?」
「だぁもう言わせんなよ!痛くても・・・痛くても良いから、お前の好きにしろって言ってんだっ!」
どうしてお前はそうやって、俺を煽るのが上手いんだ?
完全に理性を奪われた俺は、乱暴に口付けながら、一気に腰を進めた。
上がる悲鳴と、刻み込まれる爪の痕。
あけの中はぎゅうぎゅうと俺を締め付け、異物を押し出そうと動いているのが分かる。
「あ、ぐ・・・・いた・・・い・・・!」
「っは・・・あけ・・・・」
「ああっぁ・・・き、りゅ・・・桐生・・・・っ」
悲鳴のような声が甘みを含み始めるまで、そう時間は掛からなかった。
必死にしがみ付いてくる手を握り返し、どうにかあけを楽にさせようと口付ける。
「んぐっ・・・ん、んう・・・!」
「あけ・・・大丈夫か・・・?」
「うっせぇ・・・イテェって言ってんだろ・・・き、りゅう・・・」
桐生、と。
甘い声で呼ばれるのは嬉しいが、何か物足りなさを感じて俺は動きを止めた。
ああ、そうだ。
名前だ。
あけの口からまだ、俺は一度も名前を呼ばれていない。
「あけ、名前を・・・」
「・・・あ?」
「名前を、呼んでくれないか?」
「え、桐生?」
「違う」
「・・・・あー・・・そういうことか・・・」
俺の言葉の意味を理解したらしく、あけは恥ずかしそうに顔を逸らした。
それからボソボソと、聞き取れないほどの大きさで呟く。
「か・・・ずま・・・」
「・・・・あぁ」
「こ、これで・・・いいだろ・・・?」
「あぁ。これからは、そう呼んでくれ」
「は、はぁ!?んなこと出来るわけねぇだろ!」
「・・・何故だ?」
「いやだって、なんつーか、恥ずかし・・・ひゃぁあっ!」
「なんだって?」
「あっ、て、てめぇ、わざと・・・んぁあぁ!ひゃ、あぁ、はっ!」
いつもの調子を取り戻してきたあけに、俺は容赦なく腰を突き上げた。
欲しい。もっと、声が聴きたい。
俺の名前を呼びながら、壊れるほどに。
そうやって恥ずかしがる姿も、これからは俺だけのものだ。
誰にも見せたことないであろう乱れた姿も、全部。
「ひうっ!ぁあ、も、もうっ・・・か、かずま・・・っ!」
「いきそうか・・・?俺も、もう・・・限界だ」
「かず、かずまっ・・・好き、好きっ・・・!」
「ッ・・・!俺もだ、あけっ・・・!」
甘い甘い声に酔わされて
(その後、俺はあけが気絶するまで求め続けた)
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