Erdbeere ~苺~ 7話 新しい朝 忍者ブログ
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2012年05月30日 (Wed)
7話/ヒロイン視点

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朝の光が枕元を照らし、自然と私の目を覚まさせる。
ゆっくりと目を覚ました私は、いつも通りに身体を起こそうとして・・・・異様な腰の痛みに叫び声を上げた。


「ぐあっ!?こ、腰が、いだだだだ・・・・!」


昨日の夜の事を、“嘘じゃないぞ”と主張するかのような痛み。
私はあの後、桐生と繋がり、女としての1歩を歩んだ。

・・・って、そんなことはどうでも良い。

そんなことよりも、歩けないぐらい痛い腰の方が問題だ。
何度か立ち上がろうとチャレンジするが、鈍い痛みが邪魔をしてすぐに座り込む。


「っだぁ・・・・」
「ん?起きたのか、あけ
「てめぇよぉ・・・!こっちは初めてだってのに、無茶苦茶しやがって!」


裸の状態でベッドに座り、煙草を吹かす桐生を私は鋭く睨み付けた。

お前のせいで、私は激痛に悩まされてるっていうのに。
何度頑張っても立てないと感じた私は、諦めてゴロンとベッドに横たわった。

それを見ていた桐生が、意地悪い笑みを浮かべて私に覆いかぶさる。


「お、おおおい・・・!?」
「・・・無茶させて、悪かった」
「・・・くっそ・・・そんな顔されたら、怒る気にもなれねぇよ・・・」
「フッ・・・お前にも、惚れた弱みってのがあるんだな」
「お前こそな」


相変わらず、桐生は卑怯だ。
そんな風に謝られたら、私が怒れないって知っててやってやがるんだ、こいつは。


あけ
「ん・・・」


怒る気を無くした私はため息を吐き、段々と近づいてくる桐生の顔に目を閉じた。
予想通り、唇を塞がれ、容赦なく荒々しい口付けを受ける。

舌を絡め取られた私は、身体が勝手に震えてしまうのを感じてシーツを掴んだ。
やっぱり、こういうのはしばらく慣れそうにない。
今まで経験してこなかったことだし、しょうがないっていえばしょうがないんだが。


「っは・・・!」
「そんな顔してると、襲うぞ?」
「な、も、もう無理だって!さすがに蹴るぞ!」


身の危険を感じて、桐生から逃げるように後ずさる。
それを見た桐生は肩を震わせ、笑い始めた。

だー!こいつ、性格わりぃ!むかつく!
元から意地悪い性格だってことは知ってたけど、ここまでとは思わなかった。

まぁ、今更勝てないのも、分かってるけどさ。


「冗談だ。これ以上したら、さすがにお前の身体が壊れるだろうからな」
「そうしてくれ・・・。ってか今何時だ?」


窓の外はすっかり明るい。昼が近いのは確かだ。
昨日無茶させられたせいで、かなり寝てしまった気がする。

とりあえず、時間を確認しねぇと。
私はゴロゴロと転がるようにベッドを移動し、ベッドの下に落ちていた自分の携帯を拾った。
携帯の画面を開くと、そこには“15時”の表示がチカチカと光っている。


「うへぇ・・・寝すぎた・・・」


15時っておいおい。
いくらなんでも寝すぎの領域だ。

って、あれ?
私は一度目を擦り、携帯の画面を見直した。


「ん・・・?メール来てる・・・?」


新着メールのお知らせは無いのに、何故か受信履歴が更新されている。
不思議に思った私は受信ボックスを開き、メールの中身を確認した。


「へ・・・?」


受信ボックスに入っていたメール。
それは真島の兄さんからのもので、私が見てもいないのに既読のマークが付いていた。

しかも、既読のマークだけじゃない。
返信のマークも付いている。

嫌な予感がしてメールの内容を見れば、そこに書かれていたのは予想以上の内容だった。



【題名:    本文:

よぉ、桐生ちゃん。これ見とるんやろ?
桐生ちゃんにどうしても、言っておきたいことがあってやな。

俺はまだまだ諦めへんで・・・?

せいぜい俺にあけちゃんを奪われんよう、気を付けるんやな!
あとあれや、桐生ちゃん。あんまりあけちゃんを苛めんようにな。

桐生ちゃん性格悪いからのぉ~!ほな!】



何だこれ。
こんなメール私にするなよ。桐生の方のメールにしろよ。

それともワザとか?

いや、わざとだろうな・・・兄さんのことだから。
ということは、この返信履歴はまさか。



【題名:Re    本文:

分かっている。
俺だって簡単に奪われるようなことはしねぇ。

性格悪いのは、お互い様だろ、兄さん。
だが・・・手加減できるようにはするさ。】



送信履歴に目を通した私は、乱暴に携帯を桐生に投げつけた。
一発食わらしてやろうと思ったのに、簡単に受け止められて失敗に終わる。


「勝手に人の携帯でなんつー会話してるんだよお前等はっ!」
「しょうがないだろ、兄さんから仕掛けてきたんだ」
「ったくもう・・・」


色んな意味で起きる気力を失い、私は再び転がるようにして桐生の元まで移動した。
桐生の背中にコツンと頭を当て、温もりを感じながら微かに笑う。

凄く振り回されてる気がするけど、桐生にならしょうがないな。
描かれた龍の刺青。立派なその刺青を指でなぞろうとして手を止める。

伸ばした手に、ペアとして着けていたブレスレットが見えたからだ。


「あぁああぁあああ!」
「っ!?な、なんだ!いきなり耳元で騒ぐんじゃねぇ!」
「あだっ!悪い!大事なこと思い出したんだよ」
「大事なこと?」


せっかく誕生日プレゼントを渡すつもりだったのに。
今日はもう、6月18日。しかもお昼過ぎだ。

随分と過ぎてしまったが、お祝いはお祝い。
私は地面に散らばっていた自分のズボンから箱を取り出し、しっかりと中身を確認した。
中には、私が着けているブレスレットと同じものが入っている。


「おい、桐生」
「ん?」
「これ」
「・・・・これは?」


1日遅れの誕生日プレゼント。
私はそのブレスレットを桐生の手首に着け、お祝いの言葉を囁いた。


「誕生日おめでとう・・・かず、ま」
「そうか・・・昨日・・・」
「あんなことがあって言えなかったからな・・・1日遅れたけど、受け取ってくれ」


あの時は、一目惚れで買ったものだったんだけど。
特に意味は無かったのに、今では本当の恋人同士としてのペアブレスレットとなった。

勇ましい龍が刻まれた、綺麗な銀色をしたブレスレット。

桐生も気に入ってくれたのか、嬉しそうに私を抱きしめてくる。


「・・・ありがとうな、あけ。嬉しいぜ。大事にするよ」
「あ、あぁ。わ・・・分かったから・・・えっと・・・」
「・・・・どうした?」
「いやあの・・・服・・・とってくれねぇか?」


抱きしめられるのは嬉しい。
温もりを感じれるし、安心できる。

でも今、私は裸なわけで。

急に恥ずかしくなった私は、桐生に服を取ってくれるよう頼んだ。
今更ながら、慌てて布団の中に潜り込み、身体を隠す。


「は、はやく服をよこせ!」
「今更隠したって意味ねぇだろ」
「うっせぇな!意味あるんだよ!早くよこせっ」


恥ずかしいと思い始めたらそれが最後。
私は桐生から服を奪い取ると、急いでいつも通りの服に着替えはじめた。

さっさと着替えたいが、腰が痛くてうまく着替えられない。
腰を庇うように何とか着替えた私は、そのままベッドに倒れ込んだ。


「・・・そんなにいてぇのか?」
「当たり前だろ・・・腰も痛いし、喉も少し痛い」
「そうか。じゃあ今日は、俺の家に泊まって行け」
「はぁ!?」
「どうせ、俺が送らないと帰れないんだろう?だったら、もうこのまま俺と一緒に帰ればいい」
「え、いやでも・・・」


桐生の家に行ったら必ず居るであろう彼女の姿を思い出し、ヒクヒクと顔を引き攣らせた。


「いや・・・ほら、さ。お前これ、遥、放置状態だろ?」
「ん?あぁ・・・遥なら大丈夫だ。ちゃんと連絡しておいた」
「いやそうじゃなくて、遥だとさ・・・こ、こういうの、見抜いてきそう・・・じゃん」


私の気持ちにいち早く気づき、動揺させてきた子だ。
油断ならない。というか絶対気づかれる。

そんな私の心配をよそに、桐生は勝手に私の荷物をまとめ始めた。
連れて帰る気満々の桐生を止めようとするが、まったく聞く耳を持とうとしない。

それどころか私に携帯を投げつけ、遥に送ったであろうメール履歴を見せつけてきた。


「・・・・おい、ちょっと待て」
「なんだ?分かったらさっさと行くぞ」
「いや・・・て、てめぇこれ・・・まじで送ったんじゃないよな・・・!?」


見せつけられたメール内容。
私の携帯から、桐生の携帯電話へと送信されたもの。

それは、真島の兄さんとのやり取りよりも、衝撃的な内容だった。



【題名:    本文:

遥、起きてるか?
悪い・・・昼過ぎまで、帰れそうにない。

夕方には戻るから、一緒にご飯でも食べよう。

たぶんあけも来るからな。何か作ってもらうか?】



勘付きやすい遥に対し、私の携帯からメール送信なんて、そんな。

いくら遥に携帯を持たせてたからって、こんなの気づいてくださいって言ってる様なもんだ。
苛立ちに任せ、桐生に対してもう一度携帯を投げつける。


「てめぇ!遥が気づいたらどうするんだ!」
「もう気づいてたんだ、いいだろ別に」
「・・・さ、さすが遥・・・じゃなくて!さすがに恥ずかしい!恥ずかしいから!」
「良いから行くぞ、あけ
「おいこら抱えるなっ・・・!やめろー!この誘拐犯ー!」


抵抗も虚しく、米俵のように軽々と担がれた私は、家まで桐生に連れ去られた。



























変わった関係、変わらない会話
(遥が凄く嬉しそうな表情で出迎えてくれるまで、あと少し)
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