いらっしゃいませ!
名前変更所
お前はいつも遅いんだ。お前はいつも甘いんだ。
色んな人にそんなことを言われ、それでも俺は俺の意思を貫いてきた。
だが、やっと分かったんだ俺は。
何が遅いのか。何が甘いのか。
その結果何を引き起こしたのか、全て。
――――情報屋の鷹。
俺にとって彼女は、自然と背中を預けられる存在だった。
いわゆる、居て当たり前の存在。
由美が死んでしまった時も、親っさんの時も。
何があった時でも、彼女は自然と俺の傍に居た。
俺はそんな彼女を自然と頼り、俺の傍に居て当たり前の存在だと思い込んでいた。
でも・・・それは違うのだと。
今目の前で見せつけられている。
「おい、秋山っ!やめろよそういうのは!」
「やだな~、あけちゃん。照れてるのもしかして?」
「違うっての。人前ではやめろってこと・・・だよ」
「へぇ・・・じゃあ、人前じゃなければいいんだ?」
「・・・っせぇよ!」
言葉を交わさずとも、きっとアイツは俺に応えてくれる。
勘違いだったってわけか?いや、そうじゃない。
俺が甘かっただけなんだ。
言葉に出さず、委ねつづけていた俺が。
きっとアイツは俺の物になっていると、思い込んでいただけ。
久しぶりに“本気”で愛した女。
それを取られっちまうなんて、俺も本当に馬鹿だな。
いや、まだ取られて無い。
俺の気持ちを伝えてねぇんだ。
伝えて、それでも戻ってこないなら・・・こっちにも考えがある。
「秋山。ちょっと良いか?」
「あれ?どうしたんですか、桐生さん」
「ちょっとあけを借りていいか?」
「え?あぁ、はい。もちろん」
「私に?また厄介事じゃねぇだろうなぁ、桐生」
メンドクサそうにしながらも、俺の後を着いてきてくれるのが愛しい。
いつだってそうだったな、お前は。そしてこれからもそうだ。
俺はお前を、逃がすつもりはねぇ。
後ろから眠そうに着いてくるあけを、俺は静かに裏路地へと連れて行く。
「こんな所で話って・・・お前、本当に何かやらかしたのか?」
「いや・・・そうじゃない」
「ん?じゃあ何だよ」
「大事な話だ」
不思議そうに首を傾げる姿。
俺を信じてこんな裏路地まで着いてくる、素直な反応。
本当に可愛い奴だ。
ずっと俺のことを信じて、俺のために俺の背中を守って。
お前は純粋すぎるんだよ。
だから俺が教えてやる・・・本当の男ってやつを。
「あけ」
「んー?」
「好きだ」
「はっ?」
「好きだって言ってるんだ。聞こえなかったのか?」
素早くあけの方を振り返り、逃げられないよう壁に押さえつける。
あけはやっとそこで危機感を覚えたのか、俺に対して焦りの表情を浮かべた。
悪いことだと、分かっているはずなのに。
これが彼女を泣かせることになると、怖がらせることになると分かっているのに。
「わ、私は・・・知ってるだろ、秋山・・・と・・・」
「あぁ、そうだな」
止まらない。
彼女が怖がろうとも、苦しもうとも、痛がろうとも。
――――いや、逆にそれが良いんだ。
俺はこいつの、誰も見たことのない表情を独り占めしたい。
きっと秋山には、いくつもの表情を見せているんだろう。
だから、それ以外の表情を。
「き、りゅう・・・?」
「悪いが、お前を帰す気はねぇ」
「お・・・おい、冗談だろ?冗談にしてはやりすぎだぜ、桐生・・・」
「・・・・」
「人をからかうのも・・・いい加減に・・・っ!」
声を上げる彼女の口を、俺は容赦なく自分の唇で塞いだ。
飲み込まれる言葉。抵抗しようともがく身体。
その全てを押さえつけ、彼女の舌を絡めとり、我が物顔で貪る。
「ん、っふ・・・!な、何しやが、る・・・!」
「どうした?もう終わりか?」
「まっ・・・」
待ったなんて聞かずに、もう一度。
口付け、舌を絡ませ、逃がさないように身体を密着させる。
ほら、逃げられねぇだろ?
顔を真っ赤にして俺を睨んでも、俺を煽ってるだけって分からないのか?
「桐生、てんめぇ・・・!」
「逃げたきゃ逃げろよ。だが俺は・・・お前を逃がすつもりはねぇぜ」
「な、なんで、こんなこと・・・・っ。こんな、無理やり・・・なんて・・・っ」
「フッ・・・そんな顔も出来るんだな、お前」
「ひ、っ・・・!」
優しく頬を撫でながら、耳元で低く囁く。
あけは今までに見せたことのない表情で俺に怯え、身体を震わせていた。
止められる理性は、俺に残っていない。
こうやって彼女が怖がる姿を、震える姿を、愛しく感じてしまう。
可笑しい?・・・あぁ、そんなの分かってるさ。
「やめてくれ・・・桐生・・・」
「どうしてだ・・・お前は、ずっと俺の傍に居てくれただろ・・・」
「桐生、落ち着け!別に私はお前の敵になったわけじゃないだろ?私はずっと・・・お前の味方だ」
「・・・・」
「今までだってそうだっただろ?な?これからも・・・変わらねぇよ」
こんなことをした俺を、まだこいつは許すつもりなのか?
そうだった。俺はこいつのこういうところに惹かれたんだ。
人の心を分かってくれて、人を安心させるような行動と言動を取る。
やっぱり戻れねぇよ、俺は。
お前が欲しいんだ。お前が俺のものじゃなきゃ満足できねぇ。
「・・・秋山か?」
「え?」
「秋山が居なくなれば、お前は俺のものになるのか?」
「・・・ちょっと待て・・・お前、何考えて・・・」
「お前が俺のものにならねぇなら、俺はお前が物になるようにするだけだ」
「待てっ!秋山に、秋山に手を出すなっ・・・」
必死なって秋山を守ろうとする姿に、苛立ちを覚える。
じゃあ、究極の選択をさせてやるよ。
心を捨てるか、秋山を酷い目に合わせるか。
その究極の選択肢を叩きつけ、俺は意地悪く笑った。
「選ばせてやるよ。秋山の身の安全か、お前の今の心を俺に捧げるか」
涙を浮かべ、震えながら選択肢に苦しむ。
そんな彼女の姿は俺の心を満たし、そして同時に渇望させた。
欲しい。あけが、欲しい。
「・・・おい。俺はそんなに気が長い方じゃねぇぞ」
「ッ・・・・!」
「分かった。お前が答えないなら、俺は・・・」
「待てっ!待って・・・・くれ・・・!」
引き止められた腕に感じる温もり。
彼女がいつも浮かべる笑顔はどこにも無く、あるのは「恐怖」だけ。
「分かっ・・・た。分かった、お前のものに、なる。だから、だから秋山だけは・・・」
「・・・フッ。やっぱり、お前は素直なのが1番だ」
「・・・・っ」
「あけ。愛してる・・・一生、俺のもんだ」
「・・・あぁ、私も・・・桐生が・・・好きだ」
この言葉を待っていた。
やっと得られた愛の言葉に、俺はあけの首筋を舐める。
歯を立て、痛がるあけを無視して“証”を付けた。
赤く充血した証。これでもう、こいつは俺から逃げられない。
「離さねぇぜ・・・二度と、どんなに嫌がっても・・・な」
あけの瞳に映った俺の顔は、狂気色の笑みに染まっていた。
あけの心が狂うまで、そう時間は掛からなかった。
楽しかったぜ。力強い彼女の瞳から、光を奪うのは。
もちろん、これからも楽しくなるだろう。
これからはもっと、俺の好きに調教してやれるんだからな。
「ただいま、あけ」
「・・・一馬、遅い」
「寂しかったのか?」
「当たり前だろ・・・一人にすんなよ・・・」
「あぁ。今からたっぷりと遊んでやる。・・・寝る暇もねぇぐらいにな」
壊れた心を、もっともっと砕くまで終わらない
(さぁ、俺無しでは生きられない、人形になってもらおうか?)
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