Erdbeere ~苺~ 2章 下らない 忍者ブログ
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2011年11月26日 (Sat)
2章/ヒロイン視点

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コイツ、どうやってここを見つけやがった?
出入り口を塞ぐようにして立っている彼を、探るように見つめる。

ここはセレナの裏側に位置する、もっとも見えにくい場所だ。
しかも扉は壁と一体化しているため、普通の人じゃ見抜くことは出来ないだろう。

なのに、こいつはどうして?


「おい・・・聞いているのか?」
「あ・・・?あぁ。わりぃ」


噂に聞いたことのある、堂島の龍こと桐生一馬。
情報屋の私としても、一度は情報だけでなく現実で会いたいと思ったことがある存在。

その存在が今、目の前にいる。
私は落ち着けるために目を瞑ると、部屋の中が見えないように扉を閉じた。


「何の用だ?」
「手紙で、凄腕の情報屋がいると聞いてきたんだが・・・お前が、そうなのか?」
「・・・あぁ。確かに、情報屋ではあるが?」


どうやら、他の情報屋に私の噂を聞いてやってきたらしい。
首を傾げる私に、桐生が言葉を続ける。


「スターダストというお店を知らないか?」
「・・・・はっ?」


スターダスト?お店?
こいつ、まさか道案内のためだけに私を?

もっと難しい情報を求められると思っていた私は、拍子抜けの内容に呆然とする。

今までたくさんの情報を売ってきたが、こんな情報を求められたのは初めてだ。
そんなの、そこら辺の人に聞いても良いだろうに。


「まぁ、知ってるけど?」
「そうか。悪いが、教えてもらえないか」


理由はなんであれ、私のお店に来たのだ。
タダで帰すわけにはいかないと、静かに手帳を開いて笑う。


「桐生一馬・・・堂島の龍」
「!」


こういう大物の情報は、間違っていることが多い。
私は情報が正しいかを探るべく、わざと桐生の前で手元にある情報を読み上げた。

殴りかかられても大丈夫なよう、一定の距離を保ちながら。


「10年前に親殺しとしてムショに入り、最近仮釈放。罪は親殺し。でも本当の犯人はお前じゃなくて、にし・・・」


バンッ!
言葉を遮るように、桐生の手が私の胸ぐらを掴んだ。
さすがは噂通りの男。改めてみると、身長の差や体格の差が凄く激しい。

でも、この反応で情報が正しいことが分かった。
無反応な私に対して、桐生が怒りの表情を露わにする。


「てめぇ・・・なんでそんなことまで知ってんだ」
「お前、私が情報屋って聞いてきたんじゃねぇのかよ?」
「普通の情報屋にしては、知りすぎてるだろう。・・・何者だ?」


挑発に乗った桐生を、私は更に挑発した。
胸ぐらを掴んでいる手を引きはがし、そのまま腹部に蹴りを入れる。


「ッ!」
「お前こそ、私のことを誰に教わったのか教えろよ。私の事を知ってんのは、同業者か組みの奴らぐらいだぜ」


桐生は案外素直に従った。
殴りかかることもせず、静かに手紙を差し出す。
拍子抜けした私は無言で手紙を受け取ると、差出人の名前に絶句した。


「か、ざま・・・」
「風間の親っさんが、出てきたらお前を頼れと手紙に書いていたんだ。だからここへ来た」
「っ・・・・!」


ああ、そういうことだったのか。
風間のおじさんが、桐生のことを大事にしていたのは知っていた。
でもまさか、私に任せてくるなんて。

これも、何かの縁かもしれない。
閉めた扉をもう一度開き、無言で桐生を手招く。


「来いよ。私のこと話してやる」
「・・・急だな」
「風間のおじいちゃんの願いとあっちゃ、断れねぇだろ?」


私は部屋の奥に進みながら、ある程度の事を桐生に話した。


私が虐待を受けていたこと。
その両親から、風間のおじいちゃんに助けてもらったこと。

ひまわりに預けられ、ここまで育ったこと。

ある程度話を終えると、桐生は納得したように表情を緩めた。
部屋を観察するように見つめ、出されたお茶を口に含む。


「納得したか?」
「あぁ。大体な」
「んー、まぁ、だから・・・しょうがねぇし協力してやるよ。まずはスターダストだっけ?」


情報屋の仕事だけじゃ飽きちゃうし、たまにはこういうのも良いだろう。
案外乗り気の私を見て、桐生が不思議そうな顔をする。


「なんだ、お前。案外やる気じゃねぇか」
「おじいちゃんの頼みに、おじいちゃんの大事にしてる人の頼み・・・とあったら断れる方がおかしいっての」
「・・・そうか」

笑いながら手紙を返すと、桐生が少し穏やかな表情を見せた。
その表情に少し見惚れてしまった私は、慌ててお茶を一気飲みする。


なんだろう、こいつ。

噂では凄腕の極道だっていうから、もっと怖いのかと思ってたのに。

まぁでも、これから楽しいことになるのは間違いなさそうだ。
私はしばらく隠し部屋を開ける準備をすると桐生に伝え、荷物をまとめることにした。





















私の名前はあけだ。・・・お前は?
(「桐生だ」と返事を返してきた桐生に、私は意地悪く「知ってる」と答えた)
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