いらっしゃいませ!
名前変更所
福岡に来てから、俺は全てを包み隠してきた。
自由は許されない。感情を表に出すことさえも。
俺の心の中は、狂うほど喧嘩を求めている。
だがそんな俺の心を、そこら辺のチンピラが満たせるわけもねぇ。
俺は心のどこかでドス黒い感情を隠しながら、必死に鈴木太一として過ごしてきた。
でも、限界がある。
感情の爆発、というものなのだろうか。
俺が唯一感情を爆発させれる相手は、あけしかいない。
だから俺はあけを無理やり押し倒し、ベッドの端に腕を括り付け―――
―――感情のままに、抱く。
「き、りゅ、待て・・・っ!!」
「・・・黙れ」
涙目で震えるあけを、俺は無理やり抱いた。
服を引き裂き、噛みつくように首筋に歯を立て、苦しみに悶える声を唇で吸う。
それが心地よいと思ってしまうほど、今の俺は狂っていた。
苦しんでいる表情が、悶えるような息遣いが。
こんなにも俺を興奮させ、感情のままに行動させる。
「ッあ・・・ぐっ・・・ん、あぁっ・・・・」
「嫌がってるわりには、良い声出すじゃねぇか」
「桐生、おね、が、やめ・・・っ。いた、痛いっ・・・」
あけにだけ見せれる、桐生一馬としての表情。
俺は心のどこかで、あけが俺のことを嫌いになってくれないかと、そう願いながらあけの身体を貪っていた。
あけが俺のことを嫌いになって離れてくれれば、あけだけはこの苦しい世界から逃がしてやれる。
でもあけがこれでも嫌いにならないんだったら、俺はその優越に浸ることが出来る。
どんなことをしても、あけは俺の傍を離れない。そんな汚い優越感に。
俺は自分の都合の良いように、あけを使っているだけなんだ。
俺は、俺は・・・最低な人間だ。
「き・・りゅ・・・っ」
「目を開けろ」
「んっ、んんっ・・・」
「・・・こっちを見ろ」
命令口調であけを押さえつける。
屈辱が嫌いなあけはもちろんのこと俺を睨みつけ、抵抗の色を見せた。
だが、それさえも。
俺は自分の腹の中にあるドス黒い感情で、あけを傷つける。
根っからの極道モンな俺に、感情の“制御”は利かない。
「あ、ぐっ・・・んっ・・・んんっ!!!いっ・・・!!」
「はっ・・・」
「あ、やめっ、て、いた、痛い・・・っ!おね、が・・・っ」
「・・・動くぞ」
「あぁ・・・っぐ、あぁあぁあぁ!」
苦しみの声。
吐き出される、息。
愛しいと思っているのに、身体は勝手にあけを追い詰める。
欲望のままに叩き付ける身体を、あけはただ必死に受け入れていた。
何度も、何度も。
一度じゃ終わらず、俺は無我夢中と言っていいほど休みなくあけの身体を求め続ける。
「あけっ・・・あけ・・・!」
「ん、んっ・・・ぁぁあっ・・・!!」
「ん・・・くっ・・・!」
「あ、も、もう、もうやめて・・・っ!ひ、あぁあぁあっ!」
「うる、せぇ・・・黙ってろ・・・」
何度も、何度も。
4回ほど自分の欲望をぶつけた後、俺はすっと自分の感情が消えていくのを感じて頭を抱えた。
目の前のあけは放心状態で、虚ろな表情を浮かべて荒い息を吐いている。
俺は急いであけから己を引き抜くと、手を縛っていた紐を解いた。
それでもあけは動こうとせず、黙って俺の方を睨みつける。
手に残っている、紐の跡。
痛々しい跡に、俺は謝ることも出来なかった。
「・・・・」
ぐったりと倒れ込む身体。
俺の無理やりな欲望を受け切った小さな身体。
流れ出す、俺の吐き出した欲望の証。
その全てが落ち着いた今となっては、罪悪感しか生まないその光景。
何も言えずに頭を抱えていると、俺の震える手に、あけの汗ばんだ手が重ねられた。
「かず、ま・・・。ん、もう、良い?」
「あ、あぁ・・・」
普段通りに笑うあけが、心苦しくて。
俺は静かにあけの手を取り、紐の跡が残った部分を優しく舐めた。
何の謝罪にもならないと分かっている。
それでも俺は罪滅ぼしとして、彼女の手に口づけを続けた。
痛いのか感じているのか、あけはくぐもった声を出しながら・・・笑う。
何で、笑ってるんだ?お前は。
どうして、笑えるんだ?お前は。
どうして俺を、嫌いにならないんだ・・・お前は。
「一馬。もう、大丈夫だ」
「だが・・・・」
「んだよー?今の今まで黙れだのなんだの言って抱きやがったくせに」
「・・・・すまな「別に謝れっていってないだろ?」
間髪入れずに言葉を遮られ、俺はゆっくりあけから手を離した。
あけはいつも通りの笑みを浮かべ、俺の頬に口づけを落とす。
「・・・・お前は」
「ん?」
「お前はどうしてここまでされて・・・俺を、嫌いにならねぇんだ・・・俺を、殴ってくれたって・・・・良いんだぜ」
こういう抱き方をするのは、初めてじゃない。
福岡に来てからずっと、何か感情の爆発を迎えるたび、この抱き方をしてきた。
なのにあけは一度も俺を怒らず、いつも通り俺と接してくれる。
俺が良いように道具として扱ってるかもしれねぇってのに。
疑うこともしないで、こいつはただひたすら、俺に着いてきてくれるんだ。
・・・・俺はそれに、甘えすぎている。
分かってはいるが、感情の制御が下手になっちまった俺は、それを抑え込めねぇ。
「んー、お前のこと、怒ってねぇもん。だから殴らねぇよ」
「・・・あけ」
「あぁもう・・・気にするなよ。私はお前の女なんだから、せめて他の女に出来ないこと・・・させてくれよ」
弱々しい表情。
そして優しい口づけ。
俺は謝罪の言葉すら言えないまま、腕の中にあけを抱き続けた。
「いつも通りの桐生で居ろよ」と言われ、思わず泣きそうになるのを必死で堪える。
「・・・・あけ・・・っ」
「弱々しい桐生もいいけど、やっぱいつも通りの桐生が好きだぜ。私の前だけでは、無理すんな・・・な?」
あけの優しさに、再び欲望が膨れ上がるのを感じた。
静かにあけの身体をベッドに押し倒し、その上に覆いかぶさる。
「え、ま、まさかまたとか・・・じゃねぇよな・・・?も、もう体力ねぇぞ!」
「あぁ・・・無理はさせねぇ。でもお前・・・まだイけてないだろ?」
「それは別に良いからっ・・・!」
「よくねぇ。ちゃんとイかせてやるから・・・大人しくしてろ」
「ん、ふっ・・・ぁ・・・」
痛みや苦しみじゃなく、快楽に歪むあけの表情。
それを見てやっと「ごめんな」と言うことが出来た俺は、そのままあけを抱き続けた。
感情のままではなく、あけを喜ばせるように。
優しく、優しく。
朝起きたお前が、またいつも通り「おはよう」と言ってくれるのが嬉しかった。
(とんだ馬鹿野郎だよ、お前は・・・。でも、ずっと、傍にいてくれ・・・)
PR
この記事にコメントする
サイト紹介
※転載禁止
公式とは無関係
晒し迷惑行為等あり次第閉鎖
検索避け済
◆管理人 きつつき ◆サイト傾向 ギャグ甘 裏系グロ系は注意書放置 ◆取り扱い 夢小説 ・龍如(桐生・峯・オール) ・海賊(ゾロ) ・DB(ベジータ・ピッコロ) ・テイルズ ・気まぐれ ◆Thanks! 見に来てくださってありがとうございます。拍手、コメント読ませていただいております。現在お熱なジャンルに関しては、リクエスト等あれば優先的に反映することが多いのでよろしければ拍手コメント等いただけるとやる気出ます。(龍如/オール・海賊/剣豪)
簡易ページリンク
【サイト内リンクリスト】 ★TOPページ 【如く】 ★龍如 2ページ目 維新
★龍如(峯短編集)
★龍如(連載/桐生落ち逆ハー)
【海賊】 ★海賊 さよならは言わない
★海賊 ハート泥棒
【DB】 ★DB 永遠の忠誠(原作・アニメ沿い連載) ★DB 愛知らぬが故に(原作・アニメ沿い連載) ★DB プラスマイナスゼロ(短編繋ぎ形式の中編) ★DB(短編)