いらっしゃいませ!
名前変更所
スカイファイナンスの事務所。
相変わらず汚いその事務所で、私はゴロンとソファに寝転がっていた。
時間は午前0時。
仕事終わりのこの時間に、大きな欠伸を浮かべて目を擦る。
「ふあぁう・・・」
この時間帯まで私をここに待たせる奴、それは。
「いやー、ごめんごめん。待たせちゃった?」
「んー、そうだな。2時間ぐらいずっっっと留守番してたなぁ?」
「か、顔怖いよー?そんなに怒らないで!」
「誰のせいで怒ってると思ってんだよ!」
そう、この店の持ち主―――秋山。
私はこいつに留守番を頼まれて待っていたのだが、あろうことか2時間以上私をここに待たせるという迷惑っぷり。
こんなの、怒って当然だろ?
私は苛立ち紛れに上着を掴むと、へらへらと笑う秋山に勢いよく投げつけた。
顔面に気持ち良いほどクリーンヒットしたそれに、秋山がくぐもった声を上げてよろめく。
「ご、ごめんってあけちゃん・・・」
「いや、許さねぇよ?明日花ちゃんに訴えとかねぇとなー」
「い、いや、ほらさ。お土産もちゃんと買ってきたから、ね?」
そんなこと言われても、許したくないものは許したくない。
私にだって色々やりたいことはあるんだ。
暇人だと思ってもらっちゃ、困るんだよ。
必死に謝ってくる秋山に、思いっきりべーっと舌を出す。
そして秋山が持っていた缶コーヒーを見つけ、問答無用に奪い取った。
「もーらいっ!」
ちょうど喉乾いてたんだよね。
そう言いながら身体を起こし、缶コーヒーの蓋をあける。
すると急に秋山が私の背後へと回り、私の頭をポンポンと叩いた。
突然のことに睨みつければ、秋山が目を細めて笑みを浮かべる。
「なんだよ」
「いやぁ・・・可愛いなって思ってさ」
「は!?」
な、なんだよこいつ。
いきなり何言ってやがんだ。
居心地悪くなって逃げようとするも、背後に回った秋山が首に手を回してきて逃げられない。
抵抗しようとすれば耳を甘噛みされ、身体から力が抜け落ちる。
「んっ・・・!お、おい。セクハラだぞ・・・!」
「あーもう!ほんと可愛い。やばいなぁ・・・」
「何言ってんだよ、おまえ・・・っ」
「だってあれでしょ?寂しかったから・・・怒ってるんでしょ?」
そんなわけない、と。
否定するために振り向いた瞬間、秋山に唇を奪われた。
逃げようにも顎を掴まれていて、まったく身動きが出来ない。
「ん、っ・・・」
好き放題に暴れまわる舌の感覚。
嫌でも身体が震え、言うことを利かなくなっていく。
「・・・・はっ・・・」
「ほら、寂しかったんでしょ?今からたっぷり、構ってあげるよ」
「・・・・別に良い。寂しくもない。触るなこのセクハラおやじ・・・んっ!」
また、唇を塞がれた。
強引な口づけなのに、頭を抱え込んでくる手の感覚が優しくて―――抵抗出来なくなる。
「はっ・・・ぁ、てめ、息が・・・っ」
「あけちゃん?」
「ん?」
「・・・・もっと、欲しいかい?」
「・・・・」
別に、寂しくなんてなかった。
ただ二人きりで過ごす時間が少ないのも、事実で。
秋山の言葉に応えるようにソファに横たわると、その上に秋山が遠慮なく覆いかぶさった。
怒るつもりはなかったが、あまりにも遠慮ない行動に思わず頬っぺたを引っ張る。
「いだだだだ!ど、どうしたのよあけちゃん。あれ?ダメだった?」
「いや・・・ダメじゃねぇけど・・・なんかむかついた」
「照れ隠しだと思っていいのかな?」
「・・・っせぇ!」
「やっぱり可愛いな・・・あけちゃんは。ほら、あけちゃん・・・こっち向いて」
色々な場所に降らされる口づけ。
くすぐったくても逃れられないそれに、私はゆっくりと微笑んだ。
たまには、こういう時間もいいかな・・・なんて。
(もちろん調子に乗って色々しようとしたら、蹴り飛ばすけどな?)
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