Erdbeere ~苺~ 校則違反の罰 忍者ブログ
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2012年06月12日 (Tue)
~もしも先生と生徒だったら~
(甘/ヒロイン視点)

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学校?授業?勉強?
そんなつまらないもの、私にとって必要ない。

どうせ私は、裏世界で生きていく人間。
平凡な学校生活を送ろうなんて、これっぽっちも思っていなかった。
だから繰り返す。校則違反を。


「あー、だりぃ」


最高のサボり場所といえば、やっぱり屋上。
屋上にこっそりと忍び込んだ私は、欠伸をしながら煙草を取り出した。

着崩した制服。辛うじて着けていたネクタイを投げ捨てる。
こんなかたっ苦しいもの、つけてるだけで息が詰まりそうだ。


「ふー・・・・」


今の時間はちょうど4時間目か?
4時間目って言ったら、桐生先生の現代文の時間だ。

サボったら厳しい先生だが・・・まぁ、良いだろう。
だってあんなの、子守唄が流れているのと代わりない。

聞いてるだけで眠くなる授業なんて、受けなくても一緒だし。


「あんな授業、眠すぎて受けてられねぇよなぁ」
「ほう?それは俺の授業が退屈すぎるって言いてぇのか?」
「うおっ!?」


いきなり背後から聞こえた声に、私はタバコを投げ捨てた。
聞こえるはずの無い声。授業中という緩みきった時間。

すっかり油断しきっていた私は、背後から話しかけてきた正体を睨み付ける。


「んだよ・・・。何でここにいるんだ?」
「それはこっちのセリフだ。テストだって言ったのに居ないから探しに来たんだ」
「あー、そうかよ」


私はこの桐生先生が苦手だ。
何もかも分かったような態度で接し、心を見抜いてくる。

大人の余裕と、包容力ってやつなのかもしれない。
でも私はそれが気に食わなくて、ずっと彼の授業をさぼり続けていた。

きっと彼は、そんな私の心さえ読んでいるのだろう。


「おい。いつまでここに居るつもりだ?」
「お前の授業が終わるまで」
「・・・随分俺も嫌われてるな」
「さーな」


声を聴くだけで、こうやって会話してるだけで。
心を見透かされそうで怖くなる。

元々あまり人と話すのが得意じゃなかったせいか、私は彼との会話に凄く緊張していた。
いつ捕まるかっていうのもあるけど、それ以上にこの雰囲気が怖い。


「・・・なんだよ。戻らないっていってんだろ?」
「お前、どうして俺の目を見ようとしない?」
「はっ?・・・べ、別に関係ねぇだろ」
「怖いのか?俺が。お前に説教した初めての教師だろうしな」


現代文担当、および生徒指導係。
授業をさぼり続けていた私を、初めて怒りにきたのが桐生先生だった。

でも違う。怖いわけじゃない。苦手なだけだ。
私は桐生の言葉に振り返り、挑発されて目を合わせた。


「怖いわけねぇだろ。じゃねぇと堂々とサボったりしねぇよ」
「・・・そうか」
「分かったら帰れよ。私はまだここでサボ・・・っ!?」


また屋上の外の方に向き直そうとした瞬間、グイッと腕を引かれて倒れかける。
慌ててバランスを立て直そうにも、桐生が腕を掴んでいるせいで出来ない。

バランスを立て直すことが出来ないまま、私は桐生の胸に飛び込んだ。
まるで抱きしめられている形になり、一瞬で思考を混乱させる。


「なっ・・・、な、何すんだよ!?」
「サボり続けるなんて、駄目に決まってるだろ。戻るぞ」
「やめ、やめろっ!だー、離せよこの馬鹿!変態!セクハラ!訴えるぞ!」
「俺は純粋に、言う事聞かない生徒を連れて行こうとしてるだけだ」
「だからって抱きしめる必要ねぇだろうが!離せっ!」


どれだけ暴れても、桐生の腕はビクともしない。
相手は男だ。私の力が敵わないことぐらい分かってる。

だからこそ、こいつにやられっぱなしというのが気に食わなかった。
腕に思いっきり爪を立ててみるが、桐生は一切反応を見せない。

これだけ爪を立てれば痛いはずなのに、何なんだよこいつ。


「て、んめぇ・・・!」
「俺は悪餓鬼に説教しに来たんだぜ。簡単に逃がすわけねぇだろうが」
「良いから離せって!別に逃げねぇ・・・から・・・!」
「・・・そう言って、お前が逃げなかったことがあるか?」
「ねぇだろうな」
「だろ?」
「・・・・とりゃっ!」
「っ!?」


腕がダメなら、足はどうだ。
私は話の最中にゆっくりと足を上げ、振り下ろした。

カカトできっちりと足を踏んでやり、緩んだ腕の隙間から逃げだす。
よっしゃ!とガッツポーズを決めて屋上から逃げようとした私を、凄い力が引っ張って止めた。
そのまま引きずられる様に壁際に運ばれ、ダンッ!と顔の横に手をつかれる。


「てめぇな・・・いい加減にしろ」
「思いっきり踏んでやったのに、回復早すぎだろお前・・・」
「まずはその言葉遣いから治してやる」
「・・・・」
「まず、先生に向ってお前は無いだろ。俺は桐生先生だ」
「・・・うっせぇ」


傍から見れば、襲われているような体勢。
ここは授業中の屋上。助けは来ない。

とりあえず、無視だ無視。
説教なんてめんどくさくて聞いてられねぇよ。


「・・・・分かった」


そんな私を見てか、桐生は諦めるようにため息を吐いた。

もしかして、諦める?
そう思ったのも束の間、私はガッチリと桐生に顎を掴まれた。

真っ直ぐ桐生を見るしかなくなって、気まずさに目を逸らす。


「はな、はなせっ・・・・」
「俺の言うことを聞く気はねぇんだな?」
「あるわけねぇだろこの・・・っ!?」


言葉は途中で遮られた。
私が止めたわけじゃ無い。私の意思とは関係なく、止められている。

止めたのは、桐生の唇だった。
無理やり押し当てられたそれが、私の呼吸と自由を奪い取っていく。
これが大人のキス?初体験の感覚は私を混乱させた。


「ッ・・・ふ、っ・・・!」
「言う気になったか?」
「なに、を・・・!」
「桐生先生って、呼ぶ気になったか?」
「てんめぇ、こんなことして、許されると・・・!」


再び、唇を塞がれる。
ああもう、私の意見は通用しないってことか。

でも負けるのは嫌だ。

私は必死の抵抗で桐生を睨み付け、出来るだけその口付けに反応しないよう唇を噛みしめた。

入ってこようとする舌を、力で押し出そうとする。
そんな小さな抵抗すら許されず、桐生は段々と本気で私に口付けを始めた。
こじ開けてくる舌が私の舌を絡めとり、抵抗の意思を削り取る。


「はっ・・・・ぁ」
「いつまでその強気が続くか・・・試してやるよ」
「ま、もう、待て・・・っ!」
「待ってください、だろ?やっぱりまだまだ教育が必要だな」
「ッ・・・・!」


何度も何度も、息をする暇もなく口付けられて。
私の抵抗心が消えるまで、そう時間は掛からなかった。

ギブアップの意思を示し、桐生の腕を掴む。
桐生はしばらくして唇を離すと、私の顔を見てニヤリと黒い笑みを浮かべた。


「フッ・・・もうギブアップか?」
「くっ・・そ・・・!」
「ん?まだ大丈夫だったか」
「ま、待って・・・ください、桐生先生・・・」


大人しく従うしか、道は無い。
そう気づかされた私は、渋々桐生を先生と呼んだ。


「そうだ、それでいい」
「こんなことしてっ・・・覚えとけよ・・・」
「あぁ。嫌でも覚えててやるよ。俺はなぁ・・・お前みたいなやつを見ると、指導してやらないと気が済まねぇんだ」
「な・・・」


逃げられない、と。
恐怖を覚えるには十分すぎる雰囲気を感じた。

なんで、どうして、こいつに目を付けられたんだ私は。
さっきとは違い、一切の余裕を削られた私は怯えることしか出来なかった。

これから桐生の、桐生先生の指導を、受け続けることを覚悟して。














































逃がさねぇぞ、悪餓鬼
(校則違反。その罰は口付けという甘い鎖)
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