Erdbeere ~苺~ 2章(2) 情報屋の鷹 忍者ブログ
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2012年06月10日 (Sun)
2章(2)/ヒロイン視点

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情報屋としての仕事はまず、現地の情報屋を探すこと。
しばらく歩き回った私は、大体のお店を把握して手帳にメモした。

この町で大きいショーパブ、キャバクラ、バーは把握済み。
もし必要な時があれば、そこで働いて男から情報を得れば良いだろう。


あと必要なのは・・・情報屋だな。この町の情報屋。


情報屋が情報屋から情報を得る。
おかしな話かもしれないが、これが1番良い方法だ。

彼らが把握している情報を抜き出す。
その情報を使い、ターゲットをキャバクラなどでコントロールする。

そして得た情報以上の情報を抜き取る。


これが――――“女”を使った私のやり方。


「にしてもなぁ・・・」


大体、情報屋が居そうな場所は回ったんだけど。
どうしても、情報屋っぽいのが見当たらない。

やっぱり雀荘あたりか?
さっき雀荘に行ってみた際、紹介状が無いから駄目だと帰されたんだよな。
これだけ回っても見つからないってことは、やっぱり雀荘の可能性が高い。


「・・・雀荘の、紹介状ってのを探してみるか・・・・?」


眠気を抑えるため、一旦道端で一服することにした。
苦みのある煙が鼻を擽り、徐々に眠気を覚ましていく。


「あのー」
「・・・ん?」


一服していると、紫の服を着た派手な男が近づいてきた。
見るからにその道って感じの姿に、自然と身体が警戒を示す。

そんな私を見て、近づいてきた男は慌てて首を振った。
困ったように両手を上げ、何もしないとアピールしながら苦笑する。


「ま、待ってくださいや。ワイ、そんな怪しいもんとちゃいまっせ?」
「悪いな。しょうがねぇだろ、見た目で判断しちまうのは」
「ああやっぱり・・・アンタ、あれやろ!情報屋の鷹さんでっしゃろ!」
「・・・っ!」


情報屋の鷹という男の言葉は、一瞬消えかけた警戒心を呼び覚ました。

何故私のことを知っている?
神室町で知ってる人が多いとはいえ、ここではそんな有名なはずがない。

名前を知られている、イコール、同業者の可能性がある。
でもそれ以上に、私だけが素性を知られているのが嫌な状況だ。


「・・・」
「そ、そない睨まんといてくださいよ。ワイは黒川言いまんねん」
「黒川?」
「アンタさんの同業者みたいなもんや」
「ってことは・・・情報屋なのか」
「やっぱり鷹さんなんやな~!ワイ、ファンやねん!鷹言うたら、憧れの情報屋やからな!」
「・・・・」


普段なら「くだらない」で済ます話だが、今回ばかりは訳が違う。
同業者が私のことを、ファンだと言ってくれてるのだ。

お金を払って手に入れる情報屋より、安心出来る。
私は一気に声色を変えると、相手を警戒したことを謝った。
こいつからある程度の情報が得れれば、かなりの時間短縮になる。


「わりぃな、警戒しちまって」
「ええんですわ。ワイが急に話しかけたのもアカンかったようやし・・・」
「いや、大丈夫だぜ。私のことはあけって呼んでくれ」
「鷹さんの名前はあけはんな。覚えときますわ」
「あぁ・・・。それでさ、頼みがあるんだけど・・・ダメか?」


相手を威圧しないよう、出来るだけ低姿勢で。
かつ、強請るような声色で相手を安心させる。

この黒川ってやつ自体、そこまで悪い奴に見えないしな。
元々私のファンだとか言ってるんだ。協力してもらえるだろう。


「なんでっしゃろ?あけはんの頼みならなんだって聞いたりますがな」
「じゃあ、頼む。この町の違う情報屋・・・評判の悪い情報屋でも良い。活発に活動してる情報屋、教えてくれねぇか?」
「あー、それなら江崎言うやつがおりますわ。雀荘で情報売ってるんやけど、悪い噂が絶えへん人や」
「雀荘か・・・さんきゅ。じゃあ、ソイツにまつわる噂とか・・・ソイツが日ごろ使ってるお店とか、ソイツの話のネタになりそうなの、なんか無いか?」


情報屋の名前を得ただけじゃ、終わらない。
その情報屋が普段使ってるお店や話を抜き出して、何かしら裏を掴むまでが情報屋の仕事。

裏が掴めれば色々と便利になる。
情報料を値引く脅しのネタになったり、取引の材料になったり。


「んー・・・そういえば、なんか最近、アーモンドのレートが何とか・・・とか言ってた気がしますわ」
「アーモンド・・・」


アーモンド?何だ、それは?

名前的には、ハジキの弾や薬系の隠語かもしれない。
取引の材料になる可能性も捨てきれないから、一応聞いとくか。


「そのアーモンドのレートについて、知ってるやつはいねぇか?」
「あぁ、バーのマスターが知ってたはずやで」
「そっか・・・ありがとな。お礼、これぐらいで良いか?」


江崎という情報屋。その情報屋が口にしていたアーモンドのレート。
そして、そいつがあまり良い情報屋ではないということ。

これらの情報を得れただけでも、十分な収穫だ。
さすがにお礼をしなくちゃと、お礼の大5枚を取り出した私を、黒川が止める。


「お礼はいりまへん。ワイがしたくてしたことや」
「お前・・・ありがとな。このお礼、どこかでさせてくれよ」
「ええんやええんや!またどこかでお会いしましょ!」
「あぁ。じゃあ、またな!」


黒川、か。気前の良い同業者だったな。
私はメモした手帳をポケットに入れ、まずはバーへ向かうことにした。

夜明けまであともう少し。
さっさと集めないと、本当に寝れなくなりそうだ。




























眠い。本当に眠い。
情報を集め終わってキャバレーに潜入していた私は、長いウィッグを掻き分けて欠伸を浮かべた。

アーモンドのレートは聞けたし、雀荘の紹介状も手に入ったし。
後はここで、“その道”の人間を探して情報を得るだけ。


「今日はツイてるぜ・・・」


私は満足げに鼻を鳴らすと、赤いドレスを翻してVIP席への階段を上った。
ちょうど今、このキャバレーのVIP席にヤクザの団体が居るらしい。

これをチャンスと言わず、なんと言うか。
すっかりと仕事モードに表情を切り替えた私は、金髪のごついお客を目の前に、ニッコリと営業スマイルを浮かべた。


「初めまして、ちなつと申します。よろしくお願いします!」


































金髪のお兄さん、たくさん情報をいただこうか?
(さぁ、騙してやるよ。情報屋としての姿で)
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