Erdbeere ~苺~ 7章 龍と鯉 忍者ブログ
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2011年12月03日 (Sat)
第7章/ヒロイン視点

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伊達さんからの、緊急の電話。
緊急の話があるから早く戻って来いと言われ、セレナに戻ってきたのだが。

伊達さんに切り出された話は、かなり衝撃的なものだった。


「これ、は・・・」


寝ている遥を起こさないよう、震える手で写真を受け取る。
私に見せてきた写真。それは花の刺青がしてある女性の遺体だった。

伊達さんが今朝、警察から貰って来たのだという。
この刺青、あの時の美月ってやつと同じだ。
そして美月は遥の母親。もしかして、そんな。


「美月は、しんだって、ことなのか・・・?」


小さな声で呟くように問えば、桐生と伊達さんが視線を逸らす。
気まずい雰囲気が流れ、私は写真を伊達さんに返した。


「でも、確実ってわけじゃ、ねぇんだろ・・・?」
「あぁ。それを今から確かめに行く」
「確かめにって・・・アテはあるのか?桐生」


立ち上がった桐生に首を傾げる。
会話についていけない私は、とりあえず桐生についていく準備をした。

心地よさそうに眠っている遥を、真っ直ぐ見ることが出来ない。
もしあの写真が本当なら、今までの努力は?遥の気持ちは?
遥の頬を起こさないように優しく撫で、そのまま額にキスをする。


「遥には・・・黙っておくんだな・・・」
「あぁ・・・。今はこの刺青を彫った人の所に行くつもりだ」
「刺青?もしかして、二代目・歌彫とか?」
「・・・!お前、知ってるのか?」


まさか、当たっているとは。
適当に自分の刺青を彫ってくれた人の名前を言っただけに、私は動揺する。

そういえば、桐生も刺青掘ってたっけ。
私は躊躇うことなく上着を脱ぐと、下着を捲って刺青を見せた。
鋭い爪と瞳を持つ、鷹の刺青を。


「へぇ・・・あけも刺青をいれてたのか」
「まぁな。でもまさか、桐生も知ってるなんて」
「俺のを彫ってくれたのも、お前と同じ彫師だからな」
「そうか。じゃあ、早速出発だな」


今まで情報が無かったし、こうやって手がかりを求めて動けるのは良いことだ。
桐生が準備するのを見ながら、私は上着を着直そうとする。

――――――――が、しかし。


「っつぁ~~!」


火傷の痕にスーツが擦れ、痛みが走った。
その痛みのせいで、上手くスーツを着ることが出来ない。
するとそれに気づいた桐生が、後ろからスーツを着させてくれた。

助かるは助かるんだけど、伊達さんがニヤニヤしてるのがもの凄く気になる。
私はスーツを着させてもらった後、すぐに小声で伊達さんに突っかかった。


「なに笑ってんだよ!」
「いやぁ・・・別に俺は何も言ってないだろ?」
「顔が何か言いたそうにしてただろーが!」
「気のせいだ」


そう言いながらも、伊達さんの顔は笑っている。
ムカついた私は無視を決め込み、さっさと桐生の後を追いかけた。

メニューを見ていた麗奈さんに、行ってきますの挨拶だけをする。
麗奈さんは振り向くことなく、挨拶だけ返してくれた。


何気ない挨拶。

でもどこか、違和感を感じたのは気のせいだろうか。

何だろう、何か影があるような。
桐生に名前を呼ばれた私は、弾かれたようにセレナから飛び出した。
あんなことに違和感を感じるなんて、私も結構疲れてるみたいだ。


「・・・どうした?顔色が悪いぞ」
「あ・・・いや、なんか妙なことが気になっちゃってな」
「妙な事?」
「大したことじゃねぇんだ。疲れてんのかなー」


桐生に話しかけられ、私は誤魔化すように苦笑いを浮かべた。
人通りの多い場所を避けながら、急ぎ足で龍神会館へと向かう。
人が少ない場所でも賑わう、それが神室町なのかもしれない。

どの通りでも輝く、色んなお店。これが眠らない街。
つい最近、遥にキャバクラの事を聞かれて戸惑ったのを思い出し、思わず吹き出してしまった。

それを見ていた桐生が、気味悪そうに私を見てくる。


「いきなり何だ」
「いや・・・キャバクラって何?って遥に聞かれたの思いだしちまってよ」
「・・・それは、大変だったな・・・」


桐生も同情するぐらい、子供とは恐ろしいものだ。
遥は特に。考えてることが上を行き過ぎてて敵う気がしない。

しばらく無言で歩き、神室町の町を見渡す。
こうやって桐生と二人っきりになるのは、結構久しぶりな気がする。
最近はずっと、誰かと三人で歩いてたから。


「・・・」


そう思うと不思議と気まずくて、口を開くことが出来ない。
恥ずかしい・・・わけじゃないと思うんだけど。
ちらりと横顔を盗み見れば、桐生と目が合ってしまい驚く。


「っ・・・!」
「なんだ?人の顔をじろじろ見やがって」
「な、なんでもねぇよ」


普通に歩いてても、離れていく歩幅。
さっきまで隣に見えていた横顔が、気づけば2歩ぐらい先にあった。

別に場所が分からないわけでもないし、私は何も言わずに歩き続ける。
すると、前を歩いていた桐生が急に歩幅を緩めた。


「大丈夫か?」
「え?」
「疲れてるんだろ・・・ゆっくりでいい」
「べつに、気にしなくても大丈夫だ」


いつもより優しい声色で呼ばれた、自分の名前。
そしてその小さな気遣いが、私の心を大きく乱す。
隣に並んでいるだけで壊れてしまいそうな自分を、目を逸らすことで何とか保とうとした。

でも、桐生はそれを許してくれない。
待たなくて良いと言ったのに、歩幅を合わせるために待っていてくれた。

私が追い付くと歩きはじめ、置いて行かれると止まる。それの繰り返し。


「き、桐生。別に待たなくてもいいんだぞ?」
「・・・迷子になられても困るからな」
「迷子になるわけねぇだろ!」
「どうだか」


軽く笑われ、イラッときた私は軽く拳を突き出した。
もちろん、その拳は当たらない。
むしろ反撃とばかりに拳を握り込まれた私は、桐生の腕を叩いてギブアップを叫んだ。


「くっ・・・!ギ、ギブ!この馬鹿力!はなせっ!」
「フッ・・・」
「むかつくヤツ・・・!」


そんなことをしている間に、目的地である龍神会館が見えてきた。
鷹の刺青を彫った時のことを思い出すと、今でも刺青がズキズキ痛む。

私の身体には、虐待で受けたときの傷が少し残っている。
その中でも大きな傷を隠すため、私は右わき腹に鷹の刺青を彫った。
覚悟していたとはいえ、いれた時の痛みは未だにトラウマだ。


「私はこの前いれなおしたばっかだし、いっか・・・。お前は入れなおさなくてもいいのか?」
「あぁ・・・。時間があったらで良い」
「そうだな」


龍神会館の中へ入り、失礼します!と丁寧に挨拶をする。
すると奥の方から、久しぶりに聞く先生の声が返ってきた。


「おお、久しぶりだな。桐生にあけ
「・・・・お久しぶりです」


桐生も丁寧に、先生と挨拶を交わす。
本当に久しぶりだなー、ここにくるのも。

写真の話。写真の刺青の女の話。
私は桐生が先生と話をしている間、気を抜いてぼけーっと突っ立っていた。
まさかアイツから、電話が掛かってくるなんて思いもしなかったから。

























「お前さんに電話だぞ。・・・錦山からだ」
(結局写真の情報は得られぬまま、私たちはセレナへ戻った)
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