Erdbeere ~苺~ 5章 ジングォン派 忍者ブログ
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2013年01月23日 (Wed)
5章/ヒロイン視点

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目を覚ますと、身体中が赤い紐で縛られていることに気が付いた。
相当濃い催眠スプレーを嗅がされたのか、未だに意識がふらふらする。

でもこれ以上、寝ているわけにはいかない。
私は見張りの人がいることを確認したのち、起きたことがバレないよう、静かに周りを見渡した。

・・・ってあれ。

隣に誰か寝てる?


「・・・・っ!大吾・・・!」


私は見張りがいることもすっかり忘れ、大吾の方に身体を向けた。
見張りは私が起きたことに気付いたらしいが、特に何もしようとしてこない。

何だ?一体何が目的なんだ?
大吾にも特に外傷は無いし、私にはこいつらの目的が理解出来なかった。

傷つけることが目的なら、大吾にはこの時点で傷がついててもおかしくないはずだ。

だけどコイツらは大吾にも、私にも何もしてこようとしない。


「・・・・大吾、身体は大丈夫か?」
あけ・・・どうしてお前が・・・」
「油断して連れてこられちまった・・・。また桐生に怒られるだろうな」
「お前まで・・・身体は?何もされてねぇのか?」
「あぁ。お前も・・・大丈夫みたいだな」


とりあえず、大吾が無事なようで一安心した。
でも、問題はそこだけじゃない。

もう一人連れ去られた人間が見当たらないことに気づき、大吾に尋ねる。


「・・・・会長はどこに?」
「わりぃ・・・。別の場所に連れて行かれちまった」
「そうか・・・でもそれだけが目的なら、私たちを捕まえる意味はねぇよな・・・」


会長を連れ去るだけなら、郷龍会と手を組んだ組織なんだろうってことで解決するんだが。
どうもこいつら、様子がおかしい。

見張りの奴らが手にしているのは銃。
一人一人の行動に無駄が無く、まるで組織の人間のようだ。

外国マフィアか?それとも、郷龍会が手配した別物の組織?


「・・・おい、お前ら」
「・・・」
「おい!聞こえてんだろ!?」


考えるだけ無駄だと判断した私は、大胆な行動に打って出た。
大声を上げて見張り達に呼びかけるが、見事に無視され思わず舌打ちをする。

日本語が通じてないわけじゃねぇみたいだし。
完全に無視ってわけか。絶対後でぶっ殺してやる。


「くそっ・・・」
「あんまり体力使わない方が良いぜ。下手すると餓死するからな」
「ん?大吾、もしかしてあれから何も食べてねぇのか?」
「あぁ・・・だから体力は温存しとけ」


ここは大人しく、大吾の言うことに従っておくことにした。
特に私は左肩の傷もある。
ここで無駄に暴れたら、傷を開いて無駄に体力をなくしてしまうかもしれない。

体力を使うべき場所は、逃げれるチャンスが訪れた時。
私は大人しくベッドに横たわり、縛られている身体を器用に動かして仰向けになった。


「そういえばお前、いつから桐生さんと付き合ってたんだ?」


いつもなら答えない質問だが、状況が状況だ。
少しでも雑談して気を紛らわせてやろうと、その質問に渋々答える。


「んー・・・1年ぐらい前だな」
「あの事件の後か?」
「そうだな。・・・つか、どうしてそんなこと聞くんだよ?」
「いや・・・そういうことに一切興味がないって感じのお前が、桐生さんと付き合ってるなんて思わなかったからよ」
「んー?まぁ、今でもそんな感じあんまりねぇけどな」


恋人っていうか、悪友って感じ。
まぁ、私がアイツを求めないだけで、アイツは結構そういうの求めてくるけど。

私がアイツに求めてるのは、私に対する居場所。
必要としてほしい。求めてほしい。私を認めてほしい。
家族に近いもの、なのかもしれない。

だってほら、アイツもてるしさ。
変にベタベタして、めんどくさい女になりたくもねぇ。


「桐生さんはお前にべた惚れしてるみてぇだけどな」
「そうだと、良いんだけどな」
「良いのかよ?そんなんじゃ、桐生さん、他の女に取られちゃうぜ」
「・・・ま、戻ってきてくれればいい。私一人で、アイツを満足させられるなんて思っちゃいねぇよ」


大吾から見れば、弥生姉さんを見てるかのようなんだろう。

非難するつもりはないが、堂島組長は正直女癖が悪かった。
それでも姉さんは帰りを待ち続け、あの男を愛し、支え続けた。

桐生はあそこまでタチが悪いわけじゃないが、来るものは拒まないタイプだ。
あれだけモテれば手を出すことだってあるだろう。嫌っちゃ嫌だけど。


「なんだお前。意外と大人なんだな」
「・・・おい大吾、どういう意味だよ!?」
「昔お前と一緒に暴れてた頃は、中々暴れん坊だったじゃねぇか。そのころからすると、今のお前はかなり大人になった方だぜ」
「大吾も同じだろ。荒れてたって聞いたけど、桐生に説得されちまったらしいじゃねぇか」
「・・・うるせぇ」


懐かしい。
大吾と暴れていたころは、まだ東城会も平和だったころだ。

あの頃に戻れたら、どれだけ良いだろうかってずっと思ってた。
でも今は違う。

あの頃に戻って、平和なままだったら、私は桐生と出会えなかったかもしれない。

嗚呼。この考えは―――不謹慎、だな。


「・・・ま、そんなことよりこの状況をどうするか考えようぜ」
「そんなこと、じゃねぇよ」
「ん?どうした、大吾」
「・・・・いや、なんでもねぇ」


なんだ、大吾のやつ。
桐生の話を聞いたあたりから、何か不機嫌だ。

そんな不機嫌になるようなこと、話したか?
考えれば考えるほど訳が分からなくなり、結局私は考えるのを止めて身体を起こした。

さーて、どうするかな。

相変わらずいつでも見張りはいる。今も起き上がった私を睨みつける男が一人。


「はぁ・・・せめて見張りが消えてくれればなぁ・・・」
「どうしようもねぇだろ」
「ま、大吾は動けるかも厳しいみてぇだしな」
「・・・馬鹿にすんな。お前よりは動けるって・・・・」
「いや、今の体力的にだよ。そんな青い顔で言われても困るっつうの」


数日間飲まず食わずなら、体力がほぼ無くても仕方がない。
つうか、ここからいつ桐生が助けに来るかも分からないし、結構やべぇんじゃねぇのか?

出来るだけ大吾に負担を掛けない方法で逃げ出したいが、それは完全に不可能だろう。
見張りが居る時点で、静かに倒せてもその見張りだけ。
最終的には見張りを倒したことによって異変に気付いた仲間が来て、大乱闘になっちまうはずだ。

そうなれば、今の大吾は完全に足手まとい。

むしろ大吾か私のどちらかが、用無しとして殺されるかもしれない。


「(どうすっかなぁ・・・・)」


大人しく助けを待つのは嫌だ。
でも、大人しく待つ以外のいい方法が浮かばない。

しばらく考えていた私は、やがて考えるのに疲れてもう一度寝転がった。
縛られているせいで勢いが殺せず、転がった勢いでベッドの上の部分に頭をぶつける。

心地よい音が響き、それを見ていた大吾にプッと吹き出された。


「わ、笑うんじゃねぇよ!」
「やっぱお前、良い女だな」
「はぁ?頭壊れたんじゃねぇ?」
「いや、こんな状況でそんな余裕・・・他の女じゃありえねぇだろ」


むしろそうだから、良い女じゃないんじゃねぇの?
いい女は適度に怯えて可愛く見せるもんだ。

そう言うと大吾はまたプッと吹き出して、それから優しい笑みを浮かべた。


「お前のそういうところが良いんだよ。清々しいぐらいに偽って見せようとしない、そういうのがな」
「褒めても何も出ないぞー」
「ったく、たまには素直に受け取れよ」
「嫌なこっ「ウルサイゾ、静カニシロ」」


・・・・。

見張りに注意され、私たちは何も言うことなく目を瞑った。




























さて、とりあえず・・・どうすっかなぁ?
(考えても考えても、浮かぶのは激怒する桐生の顔だった)
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