Erdbeere ~苺~ 俺のこと気になり始めたんだろ? 忍者ブログ
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2012年11月21日 (Wed)
秋山VS桐生/ギャグ甘/微エロ

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3.俺のこと気になり始めたんだろ?


あれから数日後、お嬢様だけを狙った強姦事件がピタリと止んだ。
伊達さんによると、これがこの犯人の特徴らしい。

何度か連続で事件を起こした後、数日間息をひそめ、その後にすぐまた活動を再開する。
どうやらその数日間とやらで、襲う人の目星を付けているのではないかと伊達さんは言っていた。
となると、私がその候補に入った可能性は十二分にある。


「今日から、気を引き締めていかないと・・・・」


お嬢様として演じることも、いつ襲われても反撃できるようにすることも。
どっちも出来ないと、私自身の身が危ない。

朝日が入り始めたホテルのカーテンを開け、まだ眠い瞼をごしごしと擦った。
桐生と秋山は慣れない生活のせいか、まだ夢の中に居る。

何だかんだで私が一番手慣れだしな。こういう環境の変化に対しては。


「・・・静かだったらイケメンなのにな、こいつら」


桐生が良く私に言う言葉だけど、それをそのままそっくり返してやった。
静かだったら女らしい?それはお前にも当てはまる言葉だ。

お前等だって、静かにしてれば普通にかっこいいのに。
口を開けば意地悪い言葉ばかり吐きやがって。
日に照らされる二人の顔を見た私は、自然と顔が熱くなるのを感じる。


「・・・(本気じゃ、ねぇよな)」


数日前、二人に迫られたのが記憶に甦った。
突然キスされたり、押し倒されたり、意味が分からない事ばかりされたあの記憶が。

結局、あの後からは何もされていない。

やっぱり二人の気まぐれだったんだろうと、私は小さな苦笑を漏らした。

悔しいとは思わないが、微かに残る女心を弄ばれたような気がしてモヤモヤした。
撫でつけても収まらない寝癖に、水でも掛けようかと洗面所に移動する。


「ふあぁぁ・・・」


本当に綺麗なホテルだ。
ラブホテルとは違い、全体的に高級感が漂っている。

冷たい水を出し、それに手をつけて髪の毛を濡らした。
ぺたぺたと適当に押さえつけるだけ。それだけで私の朝の準備は終わる。
私がずっと短髪で居る理由は、これが一番の原因だ。


「んー、こんなもんかなぁ・・・」
「後ろ、跳ねたまんまだよ?」
「うお!?あ、秋山・・・起きてたのか」
「ん?うん。今さっき起きたんだよ」


眠そうに起きてきた秋山が、さらっと私の髪を撫でた。
驚いて抵抗しようにも、眠そうな秋山の表情が私の警戒心を無くしていく。

今までと同じ絡みだろ?こんなの。
意識したら、それこそ向こうの思うつぼだ。

跳ね上がる心をどうにか抑え、鏡越しに秋山に笑いかける。


「さんきゅー、秋山」
「いやー、相変わらずあけちゃんの寝癖は酷いなぁ」
「うっせぇなー!」


癖毛な上に、短い髪だからな。
秋山に髪を整えて貰っている間、私自身は化粧をすることにした。

今日も一日、これで偽りの自分を纏うのだ。
手慣れた様子でメイクを進めていく私に、秋山が関心したような目を向ける。
そんな興味津々に見られちゃうと、すごくやりにくい。


「・・・・あんま見るなよ」
あけちゃんが違う姿になるところ、見たいじゃない?ほら、続けて続けて」
「嫌だ嫌だ。お前は髪だけに集中してろ!」
「おっと・・・!」


裏拳を入れようとして、秋山に笑いながら受け止められた。
こいつも中々やる奴だから、桐生同様、力で黙らせることができなくて困る。

受け止められた手が、ふいに強く引かれた。
油断していた私は、そのまま秋山の方へと飛び込んでしまう。


「ごふっ!?」


顔から思いっきり突っ込んでしまい、口から思わぬ声が出た。
金貸しとは思えないほどガタイの良い胸板に、逃げ出せないよう押し付けられる。

息が、出来ない。
強く胸を叩いても、秋山はまったく動こうとしない。

この馬鹿、野郎・・・!


「ん、ぐ、お、おい!!」
「寒いからさ。寝癖を直した代金として、あけちゃんの温もりを貰おうかなーと・・・」
「ふざけんな、このっ!」
「おーおー!危ない危ない」


朝っぱらから、何なんだこいつは。
やっと絡まれたくなったって思ったらこれだ。このざまだ。

油断していたということもあり、全身を伝わる秋山の温もりが、私を混乱の中に引きずり込んでいく。


「はな、せって・・・言ってんだろ・・・!?」
「どうしたの?前までは怪我したあけちゃんを抱えても、こんな反応しなかったよね?」
「ッ・・・」
「もしかして、俺の事、意識し始めてくれた・・・とか?」


私たちの関係上、誰かが怪我したのを抱えたりとかは当たり前だ。
今までの私ならそれを平然と受け入れてたし、逆に秋山や桐生の怪我の手当てをしたこともあった。

相手の裸ぐらい、肌の温もりぐらい、いつものこと。
そう思っていたはずなのに、今は全然違って。

相手の温もりが恥ずかしい。無駄に意識をしてしまう。
どうして?
―――理由なんて、この二人以外考えられない。


「別に、意識なんか、してねぇ・・・!」


意識してない。してない、してない。
言い聞かせても響く、私の胸の音。


「してない?」
「して、ない」
「そうかなぁ。そのわりには・・・随分・・・」


秋山の細い指が、私の顎を掠め取る。
そして上を向かせたかと思うと、得意のニヤリ顔で私に囁きかけた。


“――――顔が真っ赤、だけど?”

渋く、色気を含んだ、男の声。


キャバ嬢の時に色んな人に同じことをされたけど、こんなドキドキしたりはしなかった。
抵抗しても無駄なことを知った私は、大人しく秋山の腕に寄り掛かる。


「はぁ・・・もういいよ」
「あれ?降参してくれるの?俺、好きにしちゃうよ?」
「んなわけねぇだろ!」


腰に回された手を、力の限り引っ叩いた。
パチンッ!と心地よい音が響き、回されていた手が一瞬緩む。

その隙を私が見逃すわけも無く。


「どけっ!」
「おわっ・・・!?」


もう一度、力の限り秋山の身体を押し戻した。
バランスを崩した秋山が倒れるが、気にせずメイクの続きを始める。


「え、あけちゃん。起こしてくれないの?」
「起こすわけねぇだろ。さっさと自分で起きろ馬鹿」
「冷たくなっちゃって・・・」
「誰のせいだと思っ「朝からうるせぇぞ、お前等!」
「うおぐっ!!?」


後頭部に感じた、あり得ないほどの衝撃。
首の骨が嫌な音を立て、一瞬意識が飛びかけたのを感じた。

こんなことをしてくるのは、アイツだけ。
案の定、鏡の奥に映る桐生の姿を見つけ、頭を押さえる。


「痛い・・・。ほんと、首折れるからさ、お前・・・」
「朝っぱらから騒ぐのが悪いんだろう。自業自得だ」
「それなら騒がせた・・・秋山に、言えよ・・・っ」


その一言を放った瞬間、秋山と桐生の間に冷たい空気が漂うのを感じた。
只ならぬ雰囲気というよりは、こう、真っ黒い雰囲気というべきか。

状況的にあまり良くないと判断した私は、そそくさと化粧を終わらせて逃げることにする。


「・・・やだな、桐生さん。そんな怖い顔で見ないでくださいよ」
「抜け駆けとはいい度胸だな」
「そういう桐生さんこそ、初日に手を出したのは桐生さんの方じゃないですか?」
「チッ・・・」
「あ、やっぱり手を出してたんですね」
「これでおあいこ、だな」
「ですね」


な、何の話してやがるんだこいつら。
そういう話を私の目の前でするな。

っていうか、そういう話自体、するな!


「お、お前等・・・わざとなのか?わざとなのかお前等はっ!」
「朝から騒ぐなって言ってるだろ、あけ
「むぐ、むぐぐぐぐ・・・!!」


桐生の大きな手に、口が塞がれる。
秋山に助けを求めるも、頑張ってとだけ言われて見捨てられた。

部屋を出てく秋山を睨み付けながら、桐生の手を何とか引き剥がそうとする。
だが、言うまでも無く、その手は一切びくともしなかった。


「ん、んんー!」
「お前、秋山のこと・・・気になってんのか?」


口を塞がれたまま、右耳に声を吹き込まれる。
思わずビクッと肩が跳ねてしまい、その反応がまた桐生を楽しませることになってしまった。

意地悪く笑う桐生を、最後の抵抗として睨み付ける。


「んんぐ、んんんんっ!!」


離せよいい加減!
馬鹿力だし、手も大きいしで息がしにくいったらありゃしねぇ!

段々呼吸がしづらくなってきた私は、慌ててもう一度桐生の手を叩く。
すると意外にもすんなり手が外された――――

―――かと、思ったのが大間違いだった。


「てめ、息が出来ないじゃねぇかこの・・・んぅっ!?」


手が外されたと思って口を開いた私は、突然の事に反応が出来なかった。


「んぅ!?んぁ、ふ、んんん・・・!!!」
「可愛い反応するじゃねぇか。そんな反応を、アイツにも見せたのか?」
「んん、んんうー!」


口に入れられているのは指。

桐生の長くてゴツイ指が、私の口の中に入れられている。

しかも桐生はそのまま、無理やり指を動かし始めた。
舌を指で弄ばれ、閉じれない口からはだらしなく涎が垂れはじめる。

それでも桐生は、離してくれない。


「んぅ、んん、んぐ、っは・・・」
「ほんと、隙だらけなんだよ・・・お前は」
「ふぅ、ぅぅ・・・!ぅ、んんっ!!」
「もう誰にも隙を見せられねぇように、お前を・・・」
「っは、ぁ」


苦しくて、涙が零れた。
指を噛んでるはずなのに、桐生はまったく反応を示さないまま指を動かし続ける。


「っ、ん、ぐ」
「・・・・」
「んんん!は、な・・・ひぇ・・・っ!」
「・・・・俺以外に、そんな表情見せるなよ」
「わひゃ、った、んっ・・・・けほっ!!けほっ・・・はぁ・・・っ!」


からかってる様な、意地悪い感じは一切ない。
その代わりに感じられるのは、本気の視線だけ。

どうすれば、良いんだよ・・・こんなの。

だらしなく垂らした涎を拭きとりながら、私はめいいっぱい酸素を吸い込んだ。
私の涎で濡れた手を、わざとらしく見せつける桐生がとても憎い。


「っ・・・」
「良い表情、するじゃねぇか。そういうお前は女らしいぜ」
「・・・うっせ・・・」
「・・・もう一度、やってやろうか?」
「っ!!やめろよ!どれだけ苦しいと思ってんだ!」


伸ばされた手を勢いよく払い、そのまま部屋を飛び出した。
気分転換に缶コーヒーでも買おうと、部屋を飛び出したついでに玄関へと向かう。

すると私の声を聞きつけたのか、着替えた秋山が慌てて追いかけてきた。
私が1人で出かけてしまうと思ったのだろう。でも、出かけるわけじゃ無い。


「待ってよ、あけちゃん。一人は危ないから俺も・・・」
「違う。飲み物買ってくるだけだ」
「あ、そうなの?」
「あぁ。お前たちのせいなんだから、ついてくんな」
「それはあけちゃんのせいだよ。俺達を異性として見てくれない、あけちゃんのせいだ」


異性として。

その言葉に、前に言われた秋山の言葉が甦った。

私のことが好きなんだ、と。
しかも、二人とも。
そんなの信じられるかって、笑っていたのに・・・こんな。


「顔、真っ赤だよ?あけちゃん」
「っ・・・・」
「これで俺達のこと、気になりはじめただろ?」


後ろから掛かった、桐生の声。
今まで険悪そうにしていた桐生と秋山が、今度は仲良さそうに黒い笑みを浮かべている。

確かに、そうだ。
私は今まで、二人の事を同業者としてしか見ていなかった。

異性だから、なんて。危機感も何も感じていなかった。

感じる必要が、ないと思っていたから。
それなのにこいつらは、私を未知なる感情の世界へと連れ去ろうとする。


「だーもう、馬鹿野郎!とにかく飲み物買ってくる!」


二人のことを忘れるためにも、ここは意地でも一人で行かねぇと。
逃げ出すように玄関を飛び出した私は、近くにある自動販売機を目指して走った。

ああもう。おとり捜査だけでも頭がいっぱいだっていうのに。


「とりあえず、コーヒー飲もっと・・・」


ホテルの外に自販機を見つけた。
無かったら少し遠出をしようと思っていたが、その必要は無かったようだ。


「甘いもんでもいいなぁ・・・。さてと、どれにしようかな」


自販機に並ぶ、飲み物の数々。
その中から甘いものを選ぼうとしていると、ふいに背後に気配を感じた。

まさか、あいつらが着いて来たとか?

そう思って咄嗟に振り返った私を、怯えた表情で見つめる男が1人。


「・・・・?」


誰だ、あいつ。
マスクを着けてて、いかにも怪しいって感じの男だ。

でも、襲ってくるような男には見えない。
どちらかといえば、襲われそうな弱々しい方。
いくら私が見つめても居なくならず、それどころか、私の方へと近づいてきた。


「あ、あの・・・っ」
「・・・どうしたの?私に、何か用かしら?」


声も女の子らしい、可愛い声をしている。
話しかけられた私はお嬢様としての声を作り、警戒されないよう笑みを浮かべた。


「え、えっと・・・あの・・・」
「怖がらないでください。話しかけたぐらいじゃ、私は何もしませんよ?」
「・・・し、失礼じゃ、ないですか・・・?」
「失礼なんてとんでもない。それで・・・私に、何か用かしら?」
「え、えっと・・・・」


普段の私だったら、ぶん殴ってるレベルのどもりっぷり。
弱々しい雰囲気にすっかり警戒心を解いていた私は、急に手を上げた男に反応が遅れてしまった。

目の前にかざされた、見覚えのある紫色の瓶。
咄嗟に口を塞ごうとしても遅く、私はまともにその瓶の液体を吸い込んでしまった。

しばらくして、予想通りの痺れが、身体を襲う。


「ふふっ・・・ごめんねぇ、お姉さん」
「ぐっ・・・こ、の・・・っ」


この強力な痺れ。間違いない。 あの瓶には、私が作った薬が入っている。

かなり前のことだが、強力な痺れ薬を作って売ったことがあった。
その時に使った瓶の色が特殊で、依頼された薬の内容を覚えていたのだ。

確か、それを売ったやつは・・・。


「て、め・・・ぇ」
「やだなぁ、お嬢様がそんな言葉・・・使っちゃだめだよ?まぁ、別にいいけどね」
「・・・・?」
「俺を楽しませてくれれば、それでいいよ。じゃ、次目が覚める時まで・・・おやすみ」
「が・・・ぁっ!?」


腹に走った衝撃。飛んでいく意識。
悔し紛れに伸ばした腕は、犯人の男に届く事無く力尽きた。




















ああ、ほんと。ロクなことねぇなぁ・・・。
(次目覚める場所がどこなのか、私には一切分からない)
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