いらっしゃいませ!
名前変更所
「おせぇよ桐生・・・って、だ、大吾?」
「久しぶりじゃねぇか、あけ」
「久しぶりだな・・・お前、どうしたんだよ?」
「俺も一緒に、関西に行くことにした」
「へっ?」
あの後、駅で桐生と合流した私は、大吾との久しぶりの再会を果たした。
大吾と会うのは何年ぶりだ?ってか、何で大吾がここに?
何でも、関西にケリを付けたい奴が居るから着いてくるらしい。
しかもそのケリを付けたい相手っていうのが、また厄介な相手で。
・・・近江連合郷田会長の息子、郷田龍司だとか。
そのせいもあって、私は関西に着くまでの間、ずっと桐生を質問攻めにしていた。
桐生が大吾を訪ねた理由は?弥生姐さんとの話は?
盃の事、それに関して他の組の反応とかも、全部。
色んな話を聞いている内に、時間はあっという間に過ぎて行く。
気づけば夜中の11時。
たどり着いた関西の町は、この時間でも賑やかさで溢れ返っていた。
「ここが、関西の町・・・」
雰囲気は神室町とそこまで変わらない。
煌びやかな電飾。着飾る女性達。
いつも見てる風景が、少し派手になったって感じだ。
後はまぁ、聞こえてくる言葉が違うぐらい。
明るい関西弁が周りから聞こえてきて、何だか落ち着かない感じにさせる。
「アンタら、これからどうするんだ?」
しばらく周りを見回していると、大吾が気怠そうに口を開いた。
新地にわくわくしている私とは違い、今にも帰りたそうな顔をしている。
これから、か。そういえば考えてなかったな。
とりあえず街を見て回って、ある程度は情報回収をしておきたい。
「私はしばらく歩き回って、情報を集めるつもりだ」
「・・・そうか。桐生さん、アンタはどうする?」
「俺も少し歩く」
「分かった。・・・だが俺は、あんまり関西に良い思い出が無い。さっさとホテルに戻らせてもらうぜ」
大吾にとってはパクられた土地だし、それもそうか。
納得した私は大吾の方を向き、ホテルが立ち並ぶ方を指差して笑った。
「お前はもう寝てろよ。疲れてるだろ?」
「・・・そうなんだが、一つ忘れてたことがある」
「ん?」
「部屋、2つしか取ってねぇんだ。あけが居ると思わなくて」
「あー・・・」
打ち合わせも何もなしに来たから、予想はしてたけど。
今の時間的に、新しく部屋を取るのはもったいない気もする。
だからと言って、一日中寝ないのも難しい。
悩んだ挙句、私は桐生の腕を掴んだ。
「大吾は先に寝るだろ?だから一部屋使え。私は桐生と一緒で良い」
「いや・・・それはマズイんじゃねぇのか?ここは普通、女が一部屋・・・」
「良いんだよそんな細かいこと。なぁ、桐生?」
「俺はかまわねぇぜ」
「それにベッド一つに男二人とか、狭苦しいだけだろ」
「お、おいちょっと待て・・・お前、桐生さんと二人で寝るつもりか?」
「ん?そうだけど?別にお前とでもいいぜ?」
「お、お前な・・・少しは女だっていう自覚を持て・・・・」
大吾にぐったりされ、首を傾げる。
何か問題でもあったか?別に問題ねぇだろ。
変な奴と二人で寝るわけじゃ無いんだし。
そんな疑問を抱く私を、桐生が後ろから思いっきり叩いた。
パシンッと良い音が響き、目の前の大吾が表情を引き攣らせる。
「っだ~~~~!」
「誰が男と寝て良いって言ったんだ・・・?」
「え、や、し、知り合いだし問題は・・・・」
「無いわけねぇだろ。駄目だ」
「わ、分かったって、分かったからそんなマジになんなよ・・・!?」
目が、目がマジすぎてやばい。
叩かれた部分を押さえつつ、私は必死になって謝った。
何故怒られているのか、イマイチ理解出来てない自分が居る。
変な関係の人間じゃないのに。駄目なのか?
「大吾、お前は先に休んでてくれ。部屋はあけが言った通りで問題ない」
「あ?あ、あぁ・・・・」
「どうしたんだよ桐生?そんなにダメな事言ったか?」
「・・・・」
桐生は無言で振り返ると、私の耳元に唇を寄せた。
甘く低い声で囁かれる言葉は、背中を擽って力を奪う。
「お前は俺の女だって・・・もう一度教えてやらないとダメか?」
「ッ・・・」
「次はねぇからな、あけ」
「わ・・・分かった、よ・・・!」
そこでようやく、桐生が怒っている理由に気づくことが出来た。
前も一度このことで、怒られたことがあったっけ。
――――いわゆる、嫉妬。
前に似たようなことを言った際、かなり激しく抱かれたことを覚えている。
情報屋の仕事で男と手を組んで歩いたのを見られて、怒られたことも。
「・・・・っ」
「フッ・・・」
恥ずかしくて桐生から目を逸らすと、ポカーンとした表情の大吾が目に入った。
私と桐生がそういう関係だということを知らないんだから、当たり前の反応だ。
だ、駄目だ。この空気に耐えられない。
さっさとこの場から逃げるという選択肢を選んだ私は、無言でその場から走り出した。
「おい・・・!?」
「じょ、情報集めに行ってくる!あんまり飲みすぎるなよ、桐生!」
「・・・なぁ。あけと桐生さんってどういう関係なんだ・・・?」
「見ての通りだ」
何が“見ての通りだ”、だ。
恥ずかしくてしばらくは戻れない事を覚悟し、私は関西の町を走り抜けた。
さぁ、まずは何からやりに行こう?
何だって良い。新しい場所にはやる事がいっぱいあるから。
関西の情報屋を探りに行ってみる、とか。
有名なショーパブ巡りでも良いな。
情報が得られそうな場所なら、全てが私の仕事場だ。
「ふふっ・・・久しぶりに腕がなるぜ」
新境地での情報収集。
ニヤリと笑った私は、情報を探して歩き始めた。
情報屋の鷹は爪を剥く
(せっかくなら、関西でも1番にならなきゃな?)
PR
この記事にコメントする
サイト紹介
※転載禁止
公式とは無関係
晒し迷惑行為等あり次第閉鎖
検索避け済
◆管理人 きつつき ◆サイト傾向 ギャグ甘 裏系グロ系は注意書放置 ◆取り扱い 夢小説 ・龍如(桐生・峯・オール) ・海賊(ゾロ) ・DB(ベジータ・ピッコロ) ・テイルズ ・気まぐれ ◆Thanks! 見に来てくださってありがとうございます。拍手、コメント読ませていただいております。現在お熱なジャンルに関しては、リクエスト等あれば優先的に反映することが多いのでよろしければ拍手コメント等いただけるとやる気出ます。(龍如/オール・海賊/剣豪)
簡易ページリンク
【サイト内リンクリスト】 ★TOPページ 【如く】 ★龍如 2ページ目 維新
★龍如(峯短編集)
★龍如(連載/桐生落ち逆ハー)
【海賊】 ★海賊 さよならは言わない
★海賊 ハート泥棒
【DB】 ★DB 永遠の忠誠(原作・アニメ沿い連載) ★DB 愛知らぬが故に(原作・アニメ沿い連載) ★DB プラスマイナスゼロ(短編繋ぎ形式の中編) ★DB(短編)