いらっしゃいませ!
名前変更所
「いらっしゃい・・・ま、せ」
「よぉ」
「あけ・・・なんで、おまえが・・・」
出迎えの声が段々小さくなっていくのを、私は笑いながら楽しんでいた。
ここは桐生が働くことになってしまった場所―――――アダムホストクラブ。
桐生はここで働いているのを隠しているようだったが、私に情報を隠し通せるわけもなく。
あっさりお店を突き止めた私は、黙って遊びにきたのだ。
もちろん、桐生を指名するために。
「ご、ご指名は誰になさいますか?」
「カズマってやつをよろしく」
「・・・かしこまりました」
あまり聞くことのない敬語を耳に通しながら、案内された席に深々と腰かけた。
その後に座る桐生の顔は、不機嫌の色に染まっている。
桐生が丁寧に挨拶をしながら席に着くのを見て、お構いなしにお酒を頼んだ。
丁寧に注文を取りながらも、桐生は段々距離を詰めてくる。
それに気づいた私は、慌てて身を引こうとするが・・・遅すぎた。
「逃げるな」
「お、おい、こら・・・。客に対してそれはねぇだろ?」
腕を掴まれ、一気に抱き寄せられる形になる。
嫌な予感がして離れようとする私を、桐生の力が押さえつけて離さない。
そのまま、恐ろしいほど低い声で耳元を擽られる。
身を捩りたくなるほどの何かが背筋を這い、ぞくぞくとした痺れが走った。
やばい、このままじゃすぐに逆転されっちまう。
「ま、まて、カズマ!」
「なんだ?」
「今日は客だぞ?私は。ちゃんとご奉仕しろよ」
「・・・」
ダメもとで抵抗すると、案外簡単に解放してくれた。
ホッと胸を撫で下ろしたのも束の間、お酒を渡しながら桐生が口を開く。
「あけさんは、大人の恋愛をお望みでここに来たのでしょう?」
「あ・・・?あ、あぁ・・・?」
「でしたら、たっぷり味あわせてあげますよ」
「い、いや、遠慮します」
「そんなこと言わないでください。“ご奉仕”させていただきますから」
「ま、まて・・・!きりゅ・・・!」
抵抗する暇も無く口を塞がれ、唇を貪るようにキスされた。
入ってくる舌。暴れまわるすべてが私を犯す。
苦しくて身を捩っても、桐生はまったく離そうとしない。
でも普通、お客といえどここまでしたら危ないだろ!?
なのに何でこんな、大胆なこと出来るんだこいつは!
「んっ・・・ぁ!」
そんな疑問はすぐ、自分の座っている席を見て解決した。
周りから見にくい場所に位置するこの場所は、奥に座ってしまえばほとんど人が確認できないほど・・・視界が悪い。
つまり、この席で何がされているのか、周りからは見にくいということだ。
「おま、えっ!分かっててわざとこの席を・・・!」
「どうした?大人の恋愛がお望みなんだろう?」
「そんなの、普段お前と十分味わってるから良いッ・・・!」
「まだまだ足りないから、こうやって俺にされに来たんじゃないのか?」
やばい。何かスイッチが入ってる。
目の前の桐生はいつになく楽しそうに、そしていつになく意地悪い笑みを浮かべていた。
いつもいじめられているから、仕返しをするために来たのに。
これじゃあ、何の意味も無い。
どうにか逃れようとする私に向かって、桐生がトドメの言葉を囁く。
「お前がいつか、来るのは分かってた」
「なん・・・!?」
「お酒なんて頼まなくて良い・・・だから」
“俺の好きにされろ”
そういえば、最近忙しくてこういうことしてなかったっけ。
甘く深いキスを受けながら、私は少しずつ桐生に身を預けて行った。
恋人同士になってからというもの、私は一度も桐生に勝てたことが無い。
なる前も、勝てたことなど無い気がするが。
流され続けているのを良いことに、更に桐生の行動はエスカレートする。
「んっ、ま、まて!どこ触ってんだ・・・!」
「言わなくても分かるだろう?」
「調子に乗るな!」
滑るように胸を撫でられ、嫌でも身体が反応してしまうのに悔しさが募った。
桐生に愛されるのは嬉しい。でもこうやって歯向かえないのはむかつく。
複雑な気持ちで暴れていた私を、桐生がそっと優しい口付けで慰めた。
「き、りゅう?」
「名前で、呼んでくれ」
「・・・・嫌だ」
「あけ」
「・・・だって、他の女も、そう呼んでるんだろ?ここでは・・・」
桐生の源氏名はカズマ。本名と同じだ。
それをここで呼ぶのには、何故か凄く抵抗があった。
嫉妬、なのかもしれない。
実は桐生をからかうふりをして、ただ様子を見たかっただけなのかもしれない。
自分自身が抱く感情に、心のどこかで気づきながらも桐生を睨む。
「嫉妬か?」
「ッ・・・」
「あたりか・・・」
「うっせぇ・・・」
「安心しろ。これは頼まれただけだ。俺が好きでやってるわけじゃねぇ」
「分かってるさ。分かってるけどよ・・・」
嫌なものは嫌なんだ。
その一言は口から出ることなく、桐生の唇に吸い込まれていった。
我が物顔で動く舌が、私の思考を奪い去っていく。
甘くて、勿体ないほどの暖かさ。
私は桐生の首に手を回し、ゆっくりそのキスを受け止めた。
「お前でも嫉妬すると思うと、可愛いな」
「ッ!だ、黙れこのっ・・・!」
「店の中で大声を上げるんじゃねぇ。いいのか?・・・こういうことしてるのがバレても」
意地悪く笑った桐生は、私の口を軽く塞ぐ。
そのまま足に滑らされた手が、厭らしく私の弱いところを撫でた。
足、腰、胸。
声を出せないようにされた私は抵抗出来ず、襲い来る快感に身を捩った。
撫でられればぞくりと痺れが走り、胸を舐められれば悲鳴が上がりそうになる。
そして、手は徐々に蜜溢れる場所を弄り始めた。
下着の上からとはいえ、場所が場所なだけに抵抗を激しくする。
「ぁっ、んん!んー!」
「どうした?」
「たの、む・・・ここじゃいやだ・・・」
私の言葉を聞いてくれたのか、桐生は一度手を止めた。
だが、それは桐生の罠で。
何も言わずに動き始めた手に、睨み付けることさえ出来ない。
下着の中に直接入れられた桐生の手が、私の秘部を味わうように撫でまわす。
入口で焦らすように動くそれは、私の言葉を待っているようにも見えた。
こいつ、なんて性格悪いんだ。
唇を強く噛みしめ、出来るだけ小さな声で囁いた。
「桐生、ホテ、ルに・・・ぁん!」
「ん?なんだ?」
話している最中に指をいれられ、思わず声を上げてしまう。
今まで焦らしていたのが嘘のように激しく、桐生は私の中をいじり続けた。
快感と共にあふれる、厭らしい音。
それが嫌で、恥ずかしくて、私は一生懸命首を横に振った。
「ぁ、はっ・・・やめ、ろ・・・おねが、い・・・!」
「じゃあ、はっきり言ってみろ。どこに行きたいんだ?」
「ホテ、ル・・・に、行こ、う・・・?桐生・・・」
「・・・フッ・・・。そうやってると、女らしいな」
前から意地悪なのは知ってたけど、付き合い始めてからは毎日この調子だ。
遥からは、“好きな子ほどいじめたいって言うでしょ?”って言われたが。
・・・嬉しいような、悲しいような。
桐生は黒スーツのままで私に手を差し出し、手を取るよう促した。
悔しい。悔しいけど、逆らえない。惚れた弱みってやつなのかもしれない。
「き、りゅう・・・」
「大人の世界、お前にしっかりと教えてやるよ・・・覚悟しろ、あけ」
桐生から放たれた、色気ある声と意地悪い笑み。
その一言に、私は明日動けなくなることを覚悟した。
その意地悪い笑みは、私だけに向けられる特別な物
(そう思えば少しは許せ・・・るわけねぇだろうが、ちくしょう!いつか絶対仕返ししてやるからな!)
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