Erdbeere ~苺~ 7章(4) 深まる仲、狂う心 忍者ブログ
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2011年12月07日 (Wed)
第7章-4部/桐生視点

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遥が寝てしまってから、俺は眠れずにあけをバーへ連れ出した。
何だかんだで俺が奢ることになったが、まぁいいだろう。
容赦なく人の金で高いカクテルを頼むあけに、俺は軽いデコピンをお見舞いした。


「あでっ!何すんだよ!」
「お前が間抜け面で飲んでるからだ」
「なんだよ、それ」


兄弟のような存在。
俺にとってのあけは、そんな存在だ。

乱暴で、うるさくて。
だが何があっても前だけを向く。
俺はそんなあけの過去が気になり、気づけばふと口にしていた。


「お前、確かひまわり出身だったな?」
「・・・あぁ」
「両親はどうなったんだ?」


両親から虐待を受けており、それを助けたのが親っさん、だったか?
あけは嫌な顔一つせず、俺の質問に答えてくれた。

カクテルの中の氷がカランと音を立て、崩れ始める。


「殺されたよ、私の目の前でな」
「殺された、だと?」
「あぁ。言っただろ?おじいちゃんが助けてくれたって。私の両親に色々あってな・・・カチコミかけて来たときに殺されたんだ」


見たことの無いあけの横顔が、俺を惹きつけて離さない。

兄弟のように感じているからなのかもしれねぇ――――――気になるんだ、こいつの事が。

いつも幼く、好き勝手にやってるだけの姿。
情報屋として、偽るときの姿。

その幼い姿や偽る姿の奥に、何を隠しているのか暴きたくなる。


「お前の両親は、一体何をしたんだ?」
「私と同じ情報屋だ。しかもすっげぇタチの悪い方のな」
「タチの悪い・・・」
「あぁ。金でなんでもする情報屋だったんだよ。常連さんの情報でも、金を出されれば騙してでもソイツを売りとばす。だから恨みを買って、東城会に殺されたんだ」


話を聞きながら、出されたお酒を少しずつ喉に通す。
あけもカクテルを一気に飲み干し、マスターに追加注文を頼んだ。


「今日はお酒が進むな?」
「お前が進むような話させてんだろ・・・んで?次に聞きたいことは?あんまり進まねぇけど答えてやるよ」


情報屋だからか、それとも話したくないだけなのか分からない。
そんなあけに対して、俺は容赦なく質問を続けた。

こういう時じゃないと、こいつの話は聞けねぇからな。
あけには悪いが、聞きたいことを聞かせてもらおう。


「どうして、お前は情報屋をやってるんだ?」
「あ?どうしてって・・・」
「目の前で同じ職業の両親が殺されたんだ。怖くなかったのか?」


俺の質問に、またあけの表情が変わった。
ころころ変わる表情は、ある意味見ていて飽きない。


「・・・怖いさ。今でも怖い。当たり前だろ・・・」
「じゃあ、なんで・・・」
「私はあんなクソ親に、見下されたままなのが嫌だったんだ。偉そうに私を嬲りつづけて!自分たちは汚い手で裏社会を伸し上がっただけだって言うのに!」
「・・・」
「私はあんな汚いことをせずに、親よりも優秀な情報屋になってやるって決めたんだ。この刺青は、その印なんだ・・・!」


ひらり、と。
捲られたシャツの下にある鷹の刺青を、俺はまじまじと見つめた。

獲物を狙うかのような、鋭い瞳。
その刺青の周りに火傷の痕のようなものを見つけた俺は、そっとその痕を指でなぞった。
あけが少し甲高い声を上げ、俺を睨み付ける。


「ひゃ!・・・・お、おい!くすぐったいだろ!?」
「この痕は・・・なんだ?」
「・・・火傷の痕だよ。両親につけられた、虐待の中でも最悪の痕だ」


これを見た限り、虐待は相当酷いもんだったことが想像出来た。
あけは俺の事を睨み付けたまま、口を開く。


「私はな、怖くても絶対に逃げねぇ。お前にも着いていくし、情報屋としての仕事も続ける」
あけ・・・お前・・・」
「だから・・・余計な心配すんな」


両親に虐待され、目の前で殺され。
それでも過去を背負い、両親の跡を継いだ。

俺の思っていた以上に、こいつは強いんだな。

小さな背中で無邪気に笑い、おふざけばかりする姿からは思いもしなかった、強く折れない心。

俺は静かに煙草を吸うと、煙を吐きながらあけの横顔を見つめ続けていた。























ふと考えるたびに浮かぶ、彼女のこと
(狂い行く感覚に、俺はまだ気づかない)
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