Erdbeere ~苺~ 7章(2) 単独行動 忍者ブログ
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2011年12月05日 (Mon)
第7章-2部/ヒロイン視点

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龍神会館へ掛かってきた、錦山からの電話。
明日の夜10時にセレナで会おうという、衝撃的な内容だった。

でもそれ以上に気になるのが、何故私たちの場所が分かったのか、だ。
情報屋がいたとしても、こんなに細かい場所までバレてしまうなんて。
麗奈さんから感じた違和感を思い出し、私は口を閉ざす。


桐生は伊達さんと、明日の事について話をしていた。

遥は東城会から狙われている身だ。
錦山とセレナで会うのに、ここに居続けるのもマズイ。

そんな会話を聞きながら、私は密かに行動を開始していた。
身内を疑うのは好きじゃない。でも一度気になったら無理なんだ。


「よいしょっと・・・」


会話に夢中で気づかれないうちに、空き部屋にそっと忍び込む。
ここは表の電話から、電話回線が伸びている場所だ。
電話回線の場所を素早く見つけ、音を立てないように機材を準備する。

これで、何もなければいいんだ。
確かめて・・・何もなければ。


「・・・・」


ピ、ピ、ピ、ピ。
持続的に小さな音が流れ、電話の履歴を残していく。

この機械は、電話の履歴を探るものだ。
誰が作ったかは思えてないけど、商売用の薬と取引したときに貰ったんだっけな。
怪しいけど質は確かで、素早く履歴を纏めてくれる。


「・・・これ、は・・・」


出てきた電話履歴に、嫌な冷や汗が流れた。
当たってほしくない予感ほど、当たってしまうものなのだろうか。
出てきた履歴には、綺麗に私達や桐生が出かけた後を狙って電話を掛けた後が、びっしりと残っている。

確定的ではないとはいえ、可能性は高い。
信じたくない。信じたくないのに。


「やっぱり、麗奈さんが・・・?」


出てきた履歴を手帳に挟み、何事も無かったかのようにその場を片づけた。
麗奈さんが情報を流していたとすると、お店で話していた内容は大体筒抜けだったことになる。

私の事も、筒抜けの可能性が高い。
情報屋としては、自分の素性をバラしたくないんだけど。


「んー・・・どうすっかなー」


とりあえず麗奈さんをどうするか考えていた私の耳に、大きな怒鳴り声が聞こえてきた。
この声は遥の?一体何があったんだ?
慌てて皆の所へ戻った私の目に映る、刺さるような冷たい空気。

怒鳴り声の主だったであろう遥は、もうそこには居なかった。
桐生と伊達さんが、慌てて追いかける準備を始めている。
その手には遥が大事にしていた、100億円のペンダントが握られていた。


「お、おい。桐生・・・そのペンダント・・・」
「・・・遥を探してくる。お前も、見つけたら連絡をくれ」
「あ・・・」


何だろう。酷く落ち込んでいるようだった。
セレナを去っていく桐生に、私は何も言うことが出来ない。

喧嘩しちゃったのかな。
最近、遥も不安定だったし。
私も遥を追いかける準備を始め、その前にと麗奈さんに振り返った。


「・・・あけちゃん、貴方も行ってあげてくれるかしら」
「あぁ。それは言われるまでもねぇよ」


今なら皆いないから、話をするにはもってこいの環境だ。
私は驚く麗奈をよそに、目の前の椅子に腰かける。


「麗奈さん」
「何かしら?」
「・・・そんなんで、良いのかよ」


主語は言わず、話だけを続けた。
麗奈さんはワケが分からないと、不思議そうに首を傾げる。

最初から返事は求めてない。
独り言のように呟くだけ。
彼女の行動が、幼馴染である桐生にばれる前に。


「別に私は何もいわねぇ。でもどっちが正しいかなんて分かってるだろ」
「・・・・」
「まぁ、わけがあるんだろうけどな。そこまでは私にも分からない」
「・・・貴方・・・」
「・・・まだ時間はある。好きにしろ。私は、何も言わない」


麗奈さんが何かを言いだす前に、私はセレナを飛び出した。
彼女が背負ってる事情なんて、私には分からない。
分からないからこそ、彼女に考え直して欲しかった。

余計なお世話、なんだろうけど。
私は適当に遥の聞き込みを続けながら、スターダストの前を通りかかった。


「・・・ん?」


スターダストの前を普通に通り過ぎようとして、足を止めた。
ホストクラブの前にしては、やけに人通りが少ない。

少ないって言うか、明らかに人が逃げてっている。
私は素早く路地裏に隠れると、スターダストの様子を裏から覗いた。
好都合なことに、裏口と窓の鍵が開いている。


「何があったんだ・・・?ったく、次から次へと・・・」


遥も探さないと行けないし、スターダストにも何かあったみたいだし。
事件のオンパレードに頭を悩ませつつ、私は静かに裏口を開けた。
もしかしたら、遥が関係している可能性もある。

裏口を開けた先は、真っ暗だった。
足元も見えないぐらいのため、音を立てないよう気を付けて進む。


「っち・・・どうなってんだよ」


這いつくばるように進み、何かが手に当たった所で立ち上がった。
柔らかい感触。しかも口を塞がれているのか苦しそうな声が聞こえる。
咄嗟に遥かもしれないと思った私は、携帯で電気をつけてその人を確認した。

電気に照らされた、遥ではないけど見覚えのある顔。
私はソイツの口を塞いでいるガムテープを、勢いよくはぎ取った。


「一輝!なにやってんだ!」
あけさん・・・」


ぐったりした様子で、一輝が顔を上げる。
こいつとは、風間のおじいちゃん繋がりで知り合った仲だ。
隣にいたユウヤのガムテープも剥いであげ、呼吸を楽にしてあげる。


「大丈夫か?お前ら。何があった!」
「それが分からないんだ・・・急に、男達が入ってきて・・・」
「その男達が、お前らこんな風にしたのか・・・」


あまり乱暴はされてないようだが、抵抗したのだろう。
かなりきつくロープが結ばれており、ユウヤの手にも縄の痕が残っていた。
ってなんだこれ。全然解けない。

きつく結ばれている部分が解けなかった私は、そこにあったナイフで縄を切ることにした。
それでも中々切れないぐらい、きつく結ばれている。


「待ってろよ、今切ってやるから・・・・」
「っつ・・・」
「わり。痛かったか?」
「いえ、俺達よりもまず、あの子を・・・!」
「あの子?」


あの子と言う言葉に、私は手を止めた。
なるほど、やっぱり遥が関わってたってわけか。
場所がつかめたなら、そんなに慌てる必要もない。


遥をここに連れてきているってことは、桐生達と交渉か何かしたいってことだ。
ただ殺すだけなら、こんな所に連れて来なくても良いからね。

私は桐生達に連絡をしとこうと、携帯を取り―――――――すぐに閉じた。


あけさん・・・?」
「しっ」


外から、会話が聞こえてくる。
むやみにバレるのは危険だと判断し、私は急いで息をひそめた。

何やら男達が騒いでいるようだが、一向に帰る気配を見せない。
今はやはり、こっちを急いだ方が良さそうだ。
この二人のを切れば、他の従業員のは二人に任せれる。


「待ってろ、あと少しで切れる」
「すみません・・・」
「別に良い。こっちこそ、私たちの騒動に巻き込んでごめんな」


遥が関わっている以上、この人たちは私たちのせいで巻き込まれたんだ。
縄を切り終わったところで、深々と頭を下げる。
しかし二人も、従業員の人達も、誰一人として私を責めなかった。


「いいんですよ、あけさん」
「一輝・・・」
「それより今は、出るタイミングを・・・」


一輝の言うとおり、出るタイミングを間違えば事を最悪の方向へ進ませる。
私は武器としてナイフを持ったまま、ゆっくりと立ち上がった。


そして、次の瞬間。


私は何故か、突然開いた扉に吹き飛ばされていた。
暗い上に状況が分かっていなかった私は、入ってきた男にナイフを蹴り飛ばされる。
携帯を閉じてしまったせいで、何が起きたのか把握できない。


「何すんだてめ・・・!」
「不幸だったな。お前の仲間はもう逃げたぜ」
「仲間?なんの話を・・・うあああっ!?」


反撃に出ようとした私の腰に、入ってきた男の膝が押し付けられた。
寝たままだった私は、取り押さえられるような形になる。
逃げようともがけば男が容赦なく膝に体重を掛け、私の腰に激痛を走らせた。

なんて力だ。逃げ出せない。
もがく私を無視して、男は更に私の頭を掴み、地面に押さえつけた。


「が、あぁっ・・・!まて、何かの・・・勘違・・・っ」
「吐けよ。何を知ってるんだ?お前は」
「ま、まてって!本当に、知らないって、聞い・・・」
「吐けねぇってんなら、言いやすくしてやるよ」


一度引き上げられた頭が、地面にガンッと叩きつけられる。
走る痛みに声も出ず、私は息を詰まらせた。

暗くて、何も分からなくて。
状況か状況なだけに、逆転しようという気にもなれなかった。
どうすればこの状況を抜け出せる?どうすれば。


「おい、聞いてるのか」
「まって・・・くれ。本当にわからねぇん、だ・・・」
「お前・・・まだ足りねぇようだな」
「おーい桐生。撃たれた奴の服に、こんなバッジが・・・」


大きく開かれた扉から、眩しいぐらいの光が差し込む。
痛みに備えて目を瞑っていた私は、次の衝撃が来ないことに恐る恐る目を開いた。
部屋が見渡せる状況の中、目を開いた先に居た人物を見て混乱する。


「き、りゅう・・・?」
あけ・・・!?」


ガンッ!と乱暴に放り投げられ、私はまた悲鳴を上げた。
まさかこいつ、私を犯人と間違って攻撃してきたのか。
確かにナイフとか持ってたけど、これは酷すぎるだろ。

痛みが引いてくると同時に湧き出す、押さえようのない怒り。
視界が揺れる。血が出てるんじゃないかってぐらい頭が熱い。


「おい、桐生」
「・・・あ、あぁ?」
「あぁ?じゃねぇだろ?あ?女の子にこんなことしておいて、その態度ですか?」
「お前が紛らわしいところにいるから・・・」
「・・・はぁん?随分と他の女と私の差がひでぇじゃねぇか?ん?」


道行く途中に女が絡まれていれば、優しく助けるのが桐生。
そんな桐生を見ていた私は、桐生の態度に苛立ちを募らせた。

入ってきた伊達さんが、空気のように感じるこの空間。
桐生は珍しく顔を引き攣らせながら、私を解放して頭を下げる。


「・・・すまん」
「よろしい。ったく・・・ほんと、力加減しらねぇんだからよ」
「痛むか?」
「あぁ。お詫びとして後で治療してくれ」
「分かった」


部屋を出たところに、伊達さんと遥が居た。
遥は私を見て嬉しそうに飛びついてくる。

桐生と喧嘩したみたいだったけど・・・もう大丈夫そうだ。


「遥、大丈夫だったか?」
「うん!心配かけてごめんなさい・・・」
「いや、遥が無事ならいいんだよ」
「!で、でもお姉ちゃん・・・怪我、してるよ・・・?」


叩きつけられた場所から血が出ているらしく、遥が心配そうに私の手を握った。
その手に見えた赤い痕を、私は見逃さない。
遥が痛がらないように腕を上に持ち上げ、傷跡をじっと見つめる。


「あ、お姉ちゃん・・・私は大丈夫・・・」
「んー?浅い傷でも痛いだろ?ほら、ちょっと待ってろ」


こういう時こそ、私の出番だ。
私は得意げにポケットを探ると、小さな小瓶を取り出した。


情報屋の次にしている、薬剤師の仕事。

といっても、正規の薬剤師ではない。
危ない薬関係を扱っているのだが、普段はこうやって自分で作った傷薬を持っていたりする。

その傷薬を少し取り出し、遥の腕に優しく塗りつけた。
材料が高いから、私自身には使わないでおく。


「そうだ?痛くなくなっただろ?」
「うん!ありがとう・・・!でも、お姉ちゃんは?」
「私は良いんだ。こんなのすぐ治るから」


遥が元気になったのを見て、私は桐生達に着いていくことにした。
どうやら遥を、サイの花屋の所に預けるらしい。

そういえば、喧嘩の原因を聞けずじまいだったな。
もしかして預けることで揉めたのか?離れたくない、とか?

喧嘩の理由が分かっていない私は、以前より仲よくなった遥と桐生の姿を見て、「ま、いいか」と笑みを浮かべた。
























少しだけ、遊ぼうか
(息抜きしようよという私たちの言葉に、桐生はぶっきらぼうに頷いた)
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