Erdbeere ~苺~ サイバーテロ? 忍者ブログ
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2012年12月09日 (Sun)
桐生さん/龍5サブスト話/ギャグ甘/微エロ/※ヒロイン視点

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今日もひたすら事務作業をこなす。
私の席は村松さんの席の前で、事務作業するにはもってこいの場所だった。

近くには受付の平川さんもいるし、作業した分をすぐに渡せる。
今日もひらすら仕事をやって帰るだけ・・・・だと、私は思っていた。


「うーん・・・」
「・・・ん?」


仕事が終わりかけた私の耳に飛び込む、村松さんの唸り声。
いつも冷静に仕事をこなしている人なだけに、私はそれを見過ごせなかった。

少しだけ身を乗り出し、どうしたんです?と小声で聞いてみる。
すると村松さんはパソコンから目を離さないまま、もう一度唸り声を上げた。

パソコンに、何かあったのだろうか?

情報管理においてある程度パソコンも心得ている私は、村松さんを手助けしようとして・・・足を止めた。


「ただいま、戻りました」
「よ、鈴木」
「お前・・・仕事は終わったのか?」
「んー、あと少し」
「じゃあ、待っててやるさ」
「おう!」


外から帰って来た鈴木、もとい桐生。
桐生との会話ですっかりパソコンのことを忘れてしまった私は、唸る村松さんを放置して仕事に戻った。

そこで平川さんが、村松さんに電話を少し見ててくれと言って会社を出て行く。
飲み物でも買いにいくのだろうと、気にしなかった私たちを余所に、それを見た社長と村松さんが急にソワソワと動き出した。


「村松君、様子はどうね?」
「・・・誠に遺憾ながら、あまりよくありません」
「困ったばい・・・。鈴木さん、パソコンは詳しくなかね?」
「私ですか?私はあまり・・・・」


話を聞く限り、パソコンの状態が良くないらしい。
だが村松さんのパソコンは、会社の中心となるパソコン。

私が使っている作業用のパソコンよりも重要な情報がいっぱい入っているものだ。
迂闊に手を出せず、困っていたのだろう。


「・・・そういうことなら、私「うわぁ!?な、なんだこれは!?」


手助けしようとした私の声を遮って、村松さんが大きな声を上げた。
画面を見てみると、たくさんの窓が空白のまま立ち上がっていくのが見える。

あー、これ、あれか。ウイルス系か。
情報を抜き取るものだったら危ないが、見た感じそういうものではない。
遠目で画面を確認する私の前で、パソコンに詳しくないらしい集団が大声で騒ぎ始めた。


「これはあれだ!あれ!サイバーテロだ!」
「いや、村松さん。落ち着いて・・・・」
「サイダーテロ?何だですかそれは?」
「サイダーじゃなくて、サイバーね」
「誰かがうちのパソコン、ハッキングしとっちゃなかね!?鈴木さん、どげんすればよかと!?」
「いや、まって、落ち着いてくださいってば」
「サイダーテロ・・・クッキング・・・私もあまりパソコンには詳しくないもので・・・・」
「だからサイバーだって。あとハッキング。つか慌てすぎだろ、人の話を聞いてってば!」


やばい。
突っ込みが追いつかない。

しかもタチの悪いことに、村松さんと社長が動揺しているから話がまったく聞こえていないらしい。
私はやれやれと首を振り、この場が落ち着くまで三人を見守ることにした。

本当に危ないことをしでかしそうになったら、止めよう。

そう思いながら遠目でパソコンを確認し、手元に出来た自分の書類を棚に入れた。


「このパソコンば、大事なデータが山ほど入っとるとよ!!鈴木さん!」
「・・・わかりました。できる限りやってみましょう」


おいおい。大丈夫かよ。
私の心配をよそに、桐生は凄まじく古典的な発想を思いつく。


「まず、パソコンを叩いてみましょう」


・・・いや、いやいやいやいや。
こいつ、パソコンをなんだと思ってるんだ?

確かにアサガオのテレビは叩いたら直ったけどさ。
パソコンは精密な機械だ。そんなので直るわけがない。

むしろ壊れるかもしれない可能性の方が高いというのに。


「私の前の家のテレビは、叩いて直りましたよ。家電製品は、まず叩いてみるに限ります」
「そ、そう・・・?・・・よいしょっと。どげんね!」


私が止めるよりも早く、それは行動に移されていた。
桐生が叩かなかっただけマシだろう。パソコンはビクとも反応を見せない。


「反応ないですね」
「こげんなこつで直るとや?」
「あきらめてはいけません。それでは次に・・・」


桐生がヤケに張り切っているのが、面白すぎてしょうがなかった。
こういうことを一番先に止めそうな平川さんも居ないし、今は観察でもしておくか。

私が楽しんでいるとも知らず桐生が次に出した言葉、それは。


「じゃあ、キーボードを思いっきり押しまくってみましょう」


駄目だこいつ。
完全的に解決方法が物理寄りになってやがる。

桐生の言葉を信じた社長が、めちゃくちゃにキーボードを打ちまくるが、もちろん結果は決まっていて。
動こうとしないパソコンに冷たい空気が流れ、皆の視線が桐生に突き刺さった。


「で、では、後ろのケーブルを抜いてみたらどうでしょう?」


桐生が指していたのは電源の方ではなく、LANケーブルの方。
意外とまともな答えがやっと聞け、ほっと胸を撫で下ろす。

まぁ、たぶん軽いウイルスだしな。とりあえずは悪化しないようにネットから切り離せば良い。
そう思って深く考えなかったことを、私はこのあと、酷く後悔することになった。

抜かれたLANケーブル。

それと同時に響き始めたのは、そう、ジョークウイルスの一種と思われる喘ぎ声。


「あぁんっ!抜いちゃいやぁ・・・!意地悪、しないでぇ・・・?」


耳を塞ぎたくなるような甘い声が響き、私は思わずその場に座り込んだ。

ジョークウイルスっていうのは、大体がエロサイトを経由して掛かるモノ。
だが時には通常的なサイトにもあることはある。
そして村松さんはそれに掛ったのだろうと、そう思っていたのだが。

流れている声は、明らかに通常サイトでは仕組まれないレベルのジョークウイルス。
こいつら、こいつら絶対エロサイト見ただろ・・・!!


「なななな、なんね!?」
「しまった・・・!これは罠だったんですよ!!」
「罠・・・!?」
「こちらがこうするということを相手は分かっていたんだ。クソッ・・・・」


いや桐生、悔しがるところじゃねぇからそれ。
とにかくこのウイルスの原因であろうその二人を、吹っ飛ばしてやってくれよ。

桐生は響く喘ぎ声に動揺しつつ、声を黙らせるためにLANケーブルをもう一度繋いだ。
だがそれも間違いだったらしく、次は喘ぎ声が声色を変えて響き始めた。


「あぁっ・・・!いいわ・・・・!そう、もっと、奥まで・・・!」
「だぁあああぁああ!!いい加減にしろこのっ・・・・!」
「おわ、いきなりなんね!?あけくん、こういうの苦手なんけ?」
「に、苦手もなにもないですよ・・・」


女だもの、とはいえず黙る。
周りの人間が私を男だと思っている以上、そういうことは言えなかった。

とりあえず、結構厄介なジョークウイルスみたいだし、手を貸そう。
私は無言で社長を退かすと、ウイルスが入っているであろうファイルを片っ端から開いた。
一通り目を走らせ、怪しいファイルにチェックをかけ、消していく。


「お、おお、なんね。あけくんこういうの得意だったとね!」
「ええ、まぁ」
「ならさっさと教えてくれればよかったじゃねぇか」
「いやぁ、鈴木さんが物理的解決を図ろうとするのが面白くて・・・・あだっ!?」
「お前、帰ったら覚えておけよ・・・・」
「っ・・・え、えっと、じゃあ、とりあえず直すからほら・・・」


耳元で囁かれた桐生の殺気染みた声を振り払い、私はパソコンにウイルス対策ソフトを突っ込んだ。
原因となったファイルは消せたみたいだし、あとはこのソフトに任せておけば大丈夫だろう。

しばらくすると、響いていた喘ぎ声も止まった。
皆がほっと息を吐くのを見ながら、苦笑を漏らす。


「よし、こんなもんですね」
「おおー!すごかばい!ありがとね、あけくん!」
「いえいえ。それにしても・・・・」


このウイルスにかかる原因となったであろう、行動。
それが気になった私は、社長達をジト目で睨みつけた。


「このウイルス、エロサイト系でしか入ってこないタイプのものだと思うんですが」
「な、ななな、そんなもの、見てませんよ!!」
「ふぅん・・・?」
「お、俺もみとらんばい。そんなもの・・・」


話をしながら、すっと履歴にマウスを滑らせる。
出てきた履歴はもちろん―――そういうサイト。

村松さんはおろか、それを見た社長までが動きを止めた。
分かりやすすぎだろ、こいつら。


「履歴に残ってるんで、犯人はいますよね」
「おおおおおお、俺じゃなかと!!」
「あ、しゃ、社長!?」
「じゃあ、村松さん?」
「そそ、そんなわけないでしょう!」


話を振ると、二人とも奥の部屋に逃げて行ってしまった。
残されたのは私と桐生。

しかも桐生は、なぜかそのサイトをじっと見ている。


「え、なに、こういうの興味あんの?」


開かれていたサイト。
それは普通にあるようなアダルトサイトではなく、少しマニアックなタイプのものだった。

ご主人さまプレイとか。
ソフトSM系列が並ぶページを、桐生の目が追っている。

やっぱり、男の部分は残ってるんだな、桐生も。


「おーい。変態。帰るぞ変態」
「・・・!おい、変態とは誰のことだ」
「お前のことにきまってるだろー?エロサイトがん見してたくせによ」
「いや・・・こういうのが、あるんだなと思っただけだ」
「あー、はいはい。興味あったんだろ?」


そう流して桐生をからかおうとした瞬間、急に桐生が私の腕をがっつりと掴んだ。
誰もいない職場の中で、桐生の掠れた声が私の耳をくすぐる。


「お前にやってやろうと思ったんだよ」


かっと一気に熱が走るのを感じて、私は思わず桐生に右ストレートを決めかけていた。
まぁ、あの桐生に、そんな攻撃が通用するわけもないのだが。

予想通り、私の右ストレートは簡単に押さえつけられた。
お前はからかいがいがあるな、なんて言われても、嬉しくない。
私は思いっきり桐生を睨みつけた後、タイムカードを切って会社を飛び出した。


「あーもう、馬鹿桐生。馬鹿はげてしまえ」
「おいおい」
「この変態おやじ」
「無茶苦茶言いやがって・・・・」


そう言いながらも桐生は優しく私の手を引き、アパートに向かって歩き出す。
こういう時の桐生の横顔はどこか優しげで、私は思わず顔を赤く染めた。

それに気づいてか否か、桐生がふと立ち止まる。
驚いて周りを見回すと、そこには中古のパソコン屋さんがあった。


「なぁ、あけ
「んー?」
「俺にパソコン、教えてくれよ」
「はっ?習ってどうするんだよ」
「パソコンってのは、いろいろ情報が得られるものなんだろ?それで俺も、色々見たいものがあるんだ」
「エロサイトとか?」
「・・・・おい」
「う、うわっ!!ちょっと!怒るなって!!」


桐生がそういうのを見るタイプじゃないと分かっていながらも、つい冗談を口にしてしまう。
そんな私を鉄拳で黙らせに掛ろうとする桐生を、私は必死になって止めた。

・・・でもまぁ、パソコンか。
桐生がパソコンを使えるようになったら、それはそれで便利っちゃ便利なんだけど。
情報世界なだけに、目に入れたくないものも見えてしまうことだってある。

だからあまり、桐生にはそんな世界を見せたくなかった。
情報屋になって分かったんだ。数多くの情報を見ていく内に、自分の心が廃れていくのを。


「桐生。お前にはパソコン似合わねぇよ」
「・・・・どういう意味だ、それは」
「馬鹿にしてるんじゃねぇよ?そういう情報は、私に任せろっていってんだ」
「・・・・あけ


桐生に負担をかけたくない。
そんな私の気持ちが、分かったのだろう。

桐生は優しく微笑むと、私の頭を撫でながら、小さな声でありがとうと言ってきた。
なんだか照れくさくて、頭を撫でてきたことを怒る気にもなれない。


「・・・ばか。帰るぞ」
「あぁ」


今日もまた、あの静かなアパートへと帰る。
ちょっとお騒がせな騒動があったせいか、少し私たちの表情も軽かった。

まったく、あの会社の人たちは本当・・・いい人ばっかりだな。
裏路地にさしかかった時、私は思い出したように口を開いた。


「やっぱ桐生にはパソコン似合わないな」
「なんでだ?」
「物理的に解決しようとするからだよ。パソコンは殴ってもなおらねーの」
「・・・・そうか」
「う・・・。そんな落ち込むなよ!わかったよ、今度暇な時に教えてやるから、な?」
「あぁ、よろしく頼む」
「使えるようになったら、一緒にエロサイトでも見るか?」
「・・・お前からの誘いなら大歓迎だぜ」
「え、いや、そういう意味じゃなくて、いわゆる馬鹿にしたんだけど・・・!?」
「ほら、早く来いよ」
「あ、ちょ、こら・・・!?」


そしていつも通り、平和な道のりを二人で歩く。
桐生の目が男としての色を取り戻す瞬間は、私にしか見られないのだと、優越に浸りながら桐生の手に指を絡めた。





























ああ、ほんと、馬鹿なやつ。
(私にだけ見せてくれればいいんだ。その、男としての、桐生を)
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(龍如/オール・海賊/剣豪)