いらっしゃいませ!
名前変更所
久しぶりの感触だった。
触れる唇、俺に委ねる身体、嬉しそうな表情。
その全てが愛おしくて、俺は魔女が言った言葉も忘れて彼女を求めた。
「ね、アラン・・・本当に、その、する・・・の・・・?」
「今更止めれると思ってンのか?」
「・・・じゃ、じゃあ、久しぶりなんだから・・・」
手加減、してよね?
そう言うはずだったラングの唇を塞ぎ、俺は容赦ない口付けを降らせた。
まずは唇。そして頬。
段々と下に下がり、たどり着いた首筋をねっとりと舐め上げる。
「んっ・・・・!」
柔らかい肌に歯を立て、いくつもいくつも痕を残した。
コイツが俺のものだという、消えない赤い証。
必死に声を抑えようとするラングに、俺は思わず口の端を上げる。
「我慢しなくていいんだぜ。ここは俺の部屋だ」
「関係、ないわよ・・・っ。壁、薄いん、だから・・・っ」
「隣の部屋には誰もいねぇよ・・・だから声を聞かせろ」
声を聞きたい。
その一心で服の中に手を入れ、丸みを帯びた膨らみに手を伸ばした。
暖かくて、柔らかい感触。
少し硬くなりはじめたそこに手を這わせれば、ラングの身体がビクッと跳ねる。
でもまだ、声は聞こえない。
どうやらまだ我慢しているみたいだ。
「ッ・・・ん、っ、ぁ・・・」
「ったく・・・しょうがねぇなぁ・・・」
「っ!?あ、ちょっと・・・!」
「へっ・・・それで抵抗のつもりか?全然力入ってねぇじゃねぇか」
「だ、誰のせいだと・・・っ」
変態だのジジイだの罵倒の言葉が飛んでくるが、それを無視して俺はラングの服に手を掛けた。
露わになった白い肌を見て、思わず息を呑む。
6年前とちっとも変わってない。いやむしろ、また綺麗になった気もする。
・・・・このまま、抵抗する気もなくなるぐらい、無茶苦茶にしてやりたい。
声も枯れるぐらいに。戦いのことなんて忘れて。
まぁ、そんなことしたら後で怒られっちまうのは俺だからな。
剥き出しになりかけた欲望をどうにか押さえつけ、微かに湿ったそこを下着の上からツーとなぞった。
「ひゃ、ぁぁっ・・・!」
抑えきれなかった声が響き、それが俺の欲望を煽る。
ラング自身はまだ恥ずかしいのか、一切俺の方を見ようとしない。
「ラング・・・こっちを見ろ」
「い・・や・・・」
顔を隠す手を押さえつけても、ラングは俺の方に顔を向けようとしなかった。
そんなラングに、俺の悪戯心が目覚める。
今すぐ、恥ずかしいなんてことも考えられなくしてやるよ。
下着の上からなぞるのを止め、直にその場所へと手を伸ばした。
いやいや言いながらもそこはすっかり湿っており、俺の指を容易に受け入れる。
「はっ、あぁ・・・、や、ぁあっ」
入った指は1本。
ゆっくりと押し進めて行けば、段々とラングの声に色気が帯びていく。
熱いぐらいの体温。
抵抗の意味で閉じられた瞳から、涙が零れ落ちる。
その涙さえも、俺を煽っているっていうのに。
「気持ちいいか?ラング」
「んぁっ、ぁ、ひぅっ、ん」
「・・・まだまだ、いじめ足りねぇみたいだなぁ?」
「ひゃ、あぁああぁっ・・・だ、めっ、ぁっ!」
こいつの弱いところなんて、全部知っている。
逃げようとするだけ無駄なんだ。
なんたって俺はラングだけを愛し、ラングだけに触れ―――
――――ラングしか知らないのだから。
ラングの弱いところを探り、指の先をグイッと曲げる。
すると今までいやいやと首を振っていたラングが、急にベッドのシーツを掴んだ。
「ん、や、ぁ、も・・・っ」
あぁ、そういうことか。
「イきそうか?」
「・・・っう、るさ・・・」
「・・・・」
別に抵抗されることは嫌いじゃない。
ただ、抵抗するということは、それを崩されるのも覚悟しておけってことだ。
「ん、や、あぁあぁ・・・っ!!!」
ラングの身体がより反応を示した瞬間、さっと指の動きを止める。
すっかり熱に犯されていたラングは、物足りなささに俺をじっと見つめた。
「やっと俺を見たな」
「ア、ラン・・・」
「どうした?言わねぇと、分からないぜ?」
「・・・はっ、ぅ、アラ、ン」
「お前が言ったものなら、なんだってくれてやるよ」
だから俺を求めてくれ、ラング。
その言葉を感じ取ったのか、急にラングが微笑んで俺の唇を奪った。
それから小さな声で、恥ずかしそうに呟く。
「アランが、欲しい・・・な」
甘い声に理性が途切れた。
求めるだけ求め、ラングの全てを味わい尽くす。
何度も何度も。
俺の頭にはもう、明日の事なんて存在しなかった。
「アラ、ン、あっ、やぁっ・・・」
「ラング・・・もう、俺の傍を離れるなよっ・・・」
「うん、はな、れ、ないよ・・・っひゃ、も・・・や・・・!」
「ラング・・・俺も、もう・・・」
「あ、アラン、大好き、大好き・・・っ」
「ラングっ・・・!」
放った欲望。
それでも治まらない熱。
達したばかりでぐったりしているラングを抱き起し、もう一度ラングを求めようと身体を動かした。
まさか、と。
ラングの顔が俺を見て青ざめていく。
「ま、まって、今、やったばっかり・・・っ」
「まだ足んねぇなぁ」
「ほん、と、動けなくなっちゃうから・・・!」
「しらねェよ」
「ちょっと・・・!アランッ・・・!」
もう、制止の声なんて聞こえない。
ずっと待ってたんだ。
こうしたいと、お前の温もりが欲しいと、6年間待ち続けてきた。
だからもう、俺は待たねぇ。
もう二度と、お前を、俺は。
「・・・やっちまった・・・」
理性を取り戻した俺が放った言葉は、静かな空間にひっそりと消えた。
今まで俺の欲望を受け続けたであろうラングが、ベッドの上で気絶したように眠っている。
―――いや、実際には本当に気絶したんだ。
夢中になりすぎて、目の前が見えていなかった。
容赦せず、何度も何度も求めすぎた結果がこれだ。
「ん・・・ぅ・・・」
「ごめんな、ラング・・・」
苦しそうに眠るラングの頬を、起こさないように優しく撫でる。
そして俺もベッドに横たわると、温もりを感じながら眠りについた。
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