Erdbeere ~苺~ 剣豪 忍者ブログ
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2024年11月15日 (Fri)
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2022年05月24日 (Tue)

剣豪/ギャグ甘/R18あり/修行期間ネタ。ミホークVSゾロ気味


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2022年05月24日 (Tue)
剣豪/甘々/男装要素あり/ワノ国出身者のヒロインと里帰り

全般的にワノ国編のネタバレあり。

アニメ追いかけ話みたいな感じです。


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2022年05月23日 (Mon)
剣豪/甘々/男女問わず人間たらしなヒロインに嫉妬する話


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2022年05月22日 (Sun)

剣豪/甘々/ゾロのことが好きすぎてしまうヒロインの話

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2022年05月16日 (Mon)
剣豪/切→甘/痛/傷だらけのヒロインを心配するゾロの話



くろねこの体には、たくさんの傷がある。

剣士としての傷。
――――だけじゃない。過去に実験対象として刻まれた傷も。初めて傷の手当をするために体を見たチョッパーは泣きながらくろねこを治療していた。

それでもくろねこは笑っていた。
その笑顔が妙に印象的で、気づけばゾロは彼女を自分の手元に置きたいと思うようになった。




刻まれた呪いに口づけを





轟音と焦げた香り。
戦いには付き物のその騒ぎの中で、ナミの悲鳴が響く。


「ッ――――!!くろねこっ!アンタっ・・・!」


その悲鳴に誘われたゾロが船尾に向かうと、血だらけのくろねこと目が合った。

海の中に沈んでいく海軍の船。
先程まで自分たちの船を追いかけていた驚異と轟音は夢のように消え去っていた。代わりに、少し傷を負ったゴーイングメリー号と血だらけのくろねこを残して。

ナミの表情から察するに、何かから彼女を庇ったのだろう。そうでなければ、ミホークの娘とも呼ばれる実力者がそう簡単に血に染まることはないのだから。


くろねこ、お前ッ・・・!」
「平気だよ。ちょっと銃弾食らっただけ」
「なんで前に出たのよ!?」
「・・・あのまま出なかったらナミが撃たれてたよ?私の剣はあの船を斬るために構えちゃってたし・・・」


姫抱きにしたナミを優しく船に下ろすくろねこは、自分が腹部を撃たれているとは思えないほど普通に話をしていた。ぽたぽたと落ちる血を見てナミは急いでチョッパーを呼ぶ。

ちょうど甲板側の戦闘も終わったらしく、騒ぐウソップを治療していたチョッパーがくろねこの様子を見て慌ててこちらに駆け寄ってきた。


「だ、大丈夫なのか!?今すぐ治療するから座ってくれ!」
「そんな大げさな・・・ちゃんと貫通するように受けたから大丈夫だよ、ほら」
「・・・・くろねこッ!」
「いだーーーーーーー!?」


降ろされたばかりのナミがくろねこに全力ビンタを食らわせる。
銃弾を食らったときよりもでかい悲鳴と心地よい音にゾロ達は思わず顔を引きつらせた。


「いひゃい・・・・」
「アンタはもう少し自分を大事にしなさいよ!?」
「だってぇ・・・あのままだとナミの腕に当たってたもん・・・・」


くろねこの発言にナミは頭を抱える。

彼女は仲間になってからいつもそうだった。既に傷だらけの自分が傷つく分にはいいと思っているフシがあるのだ。何度注意してもそれは治らず、ゾロやルフィとはまた違う問題児性質を感じていた。

けろっとした表情で痛々しい傷跡の治療を受けるくろねこを、ゾロがイライラした表情で見下ろしている。それに気づいたサンジが呆れながら煙草に火をつけた。


「おいおい、まずは心配するところからだろうがクソマリモ」
「誰も心配してねぇとは言ってねーだろうが」
「顔が怖ぇんだよお前は」
「ごめんね、ゾロ。そんな顔しないでよ。ね?大丈夫だから!」


また、あのときの笑顔だ。

彼女の笑顔はやせ我慢じゃない。本気で平気だと笑っているのだ。それに頭を抱えているのはナミだけではなく、その笑顔に惚れたゾロも同じだった。

彼女は仲間のためなら、恋人のためなら、命を捨てることだって簡単にする。くろねこの強さからして簡単に死ぬことはないのは分かっていても、傍で見ている側は落ち着かない。剣士である自分がまさかこんな感情を抱くとは、と苦笑する余裕もないほどに。


「ったく、こんな状態のくろねこちゃんに気を使わせるなんて・・・大丈夫かい?くろねこちゃん。俺が痛みを和らげるような美味しいデザート作ってくるよ」
「ほんと?ありがと!」


そんなゾロの心配を知ってか知らずか、くろねこはサンジの提案に笑顔を深めた。同時にゾロが治療が終わったばかりのくろねこの手を取り、少し乱暴に立ち上がらせる。


「っ・・・?どうしたの?」
「・・・・来い」
「うん?」
「こらちょっとゾロ!?乱暴なことしないのよー!?でも説教はしなさい!」
「そうだぞゾロー!包帯取らないように監視しといてくれ!くろねこはゾロと同じですぐ包帯とっちまうんだ!」


背中で野次を受け止めながら、お腹をぐるぐる巻にされたくろねこを引きずり、甲板の方へと歩く。戦闘の名残でボコボコになった床を乱暴に踏み潰して甲板の先で手を離したゾロは、戸惑うくろねこに顔を近づけた。


「・・・・ぞ、ぞろ?」


頬をうっすらと桃色に染め、視線を逸らすくろねこは、何も知らなければただの可愛らしい女性だ。

背負った運命さえなければ彼女は普通の女性として過ごしたのだろうか?

そんな無駄なことをと思いつつも、それならば彼女に惹かれることはなかったかもしれないという矛盾の感情がゾロを支配する。複雑な感情に苦笑しながらくろねこの頬に手を添えれば、更に頬の色が強く染まった。


「お・・・怒ってる?」
「あァ」


本当は怒っているわけではないが、困る顔が見たくてそう答える。するとゾロの思惑通り、くろねこは目を見開いてあわあわと両手を上げて言い訳を始めた。


「だ、だってね?船を切ろうと思って構えちゃってたから刀で弾くのもちょっと危ない状況でね?ナミも避けれない位置だったからつい体が動いてっ・・・!」
「・・・・お前の判断が間違ってるとは言わねぇ」


既に傷ついているやつが傷つけばいいという考えに同調するわけではないが、庇わなければナミが傷ついていたというのは変わらない事実だ。それをナミよりもタフなくろねこが受けるのは戦いの場ではむしろ良い判断だろう。

苛つくのは、そこじゃない。


―――――じゃあ、なんで、苛ついているんだ?


時と場合によってはそれも必要だということは、剣士として分かることじゃないか。

だが、もやもやする。その感情の理由を探りに探り、無言でくろねこを睨み続けたゾロは、剣士としての感情よりも一人の男としての感情を優先して口を開いた。


「あー、なんだ。・・・・ちったぁ、頼れ」


強引に抱き寄せ、傷が傷まないように、けれどもそう簡単には逃げ出せないように腰を抱く。


「痛かった、ぐらい言えばいいだろ」


どんなに戦いに慣れていても、痛さや苦しみを押さえ込むのは難しい。
同じ戦いに身を置く立場としてゾロはそれを良く分かっていた。そしてそれを口にしない理由も。


「ゾロだって言わないくせに?」
「・・・・俺は良いんだよ」
「えー?」
「お前は言え」


横暴な物言いにくろねこが笑いながら顔を上げた。

抱きしめられたまま見上げた先のゾロの表情は、太陽に霞んでいてよく見えない。ゾロが一体どんな表情で言っているのか気になったくろねこは、抱きつくようにゾロの胸元に手を添えて背伸びをした。


「・・・・なんだ?」


近づく顔にゾロが後ずさる。

それでも腰に添えた手を外さないところに愛情を感じつつ、くろねこはわざとらしく’ちゅっ’と音を立ててゾロに口づけた。軽く唇が触れたところで目を開ければ、戸惑いながらも真剣な感情を携えた瞳と目が合う。

あぁ、ずるいなぁ。

思わずそう呟きそうになって、誤魔化すように顔を逸らしたくろねこに、ゾロが不満げな表情を浮かべる。


「何か言いたいことがあるなら言えよ」
「ないけど、こうしてていい?」
「あ?あぁ・・・・」


先ほどとは違い、自ら体を寄せてゾロの胸元に顔を埋めるくろねこの息は荒い。


「・・・・痛い」
「体勢、変えるか?」
「大丈夫。こうしてると、なんだか痛みが和らぐんだよね」


くしゃりと可愛らしく笑うくろねこの頬をそっと撫でる。
安心したように目を閉じるその体は、触れると少し汗ばんでいた。

腹部を撃ち抜かれて平気な人間がいるわけがない。

痛みによる熱と汗を腕に感じながら、ゾロはひたすらくろねこの頬を撫で続けた。この状態ではまだチョッパーが調合してくれた痛み止めも効いていないのだろう。せめてその薬が効くまでは、楽になるまでは、このまま。


「・・・・ゾロって意外と優しいよね」
「・・・・そうか?」
「うん」


傷口に触れないよう腰に回していた手を上に動かすと、背中にあった古傷の感触が指先に触れた。

くろねこの体は傷だらけだ。
その傷に過去の全てが詰まっている。彼女が過去を振り切り、前を向いて剣を振るう強さも、その強さのために努力した時間も全部。

彼女はその傷を、嫌う。
女性なら当たり前なのかもしれない。
触れ合う時間も、なるべく体を見ないでくれと震えた声で願う。


「・・・・・」


ゾロはくろねこの体を支えながらゆっくりとしゃがみ、包帯の上から傷口にキスを落とした。突然の行動にくろねこが慌ててゾロの頭を押さえつける。


「ちょ、ちょっと!なにしてんの・・・!」
「良いから俺に集中してろ」
「ッ・・・恥ずかしいんだけど!」
「だから良いんだろ。どうせお前の傷は全部俺が知ってる。これも、これも・・・全部含めて俺のモンだろ、違うか?」
「ッ・・・・・」


意地悪い笑みと、頭を押さえつけようとしていたくろねこの手首を強引に掴むゾロの行動に、くろねこの顔が桃色を通り越して真っ赤に染まった。その反応に満足しながら行為を続けるゾロは、口づける位置を段々とずらしていく。

銃弾を受けた傷。
それから、横にあったはずの前の戦いでの斬り傷。
古傷も、手術の痕にも全て口づけを落とす。


「・・・・くろねこ


服をたくし上げてセクハラまがいのことをし始めても、くろねこはその様子をぼーっと熱に侵された瞳で見ていた。


「これからは俺を頼れ。・・・・いいな?」


まるで催眠でもかかったかのように、文句も言わずただ頷く。


「俺はまだお前より弱ぇ。でもな、俺は世界一の大剣豪になる男だ。いずれお前も超える。そんな将来大物の男なんだ、頼りないなんて言わせねぇぞ」


そういうのは超えてから言ってよ、なんて冗談は言えなかった。真横から鋭い殺気を感じたからだ。殺気の方に視線を向ければ、デザートを持ったサンジが片足を上げてゾロの方を睨みあげている。


「てめェ・・・・!弱ってるくろねこちゃんに付け込んでセクハラしやがって・・・!」
「あァ?何言ってんだアホコック」


見られたことに対して何とも思ってない表情で睨み返したゾロは、立ち上がってくろねこを再度抱き寄せると、挑発するように火に油を注いだ。





刻まれた呪いに口づけを
(こいつは俺のモンだ。どうしようと俺の勝手だろうが)


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